私を殺そうとした事を知っている。金正恩総書記が米CIA長官に放った一言

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トランプ政権下でCIA長官や国務長官を務め、現在はシンクタンクに身を置くマイク・ポンペオ氏。そんなポンペオ氏が近く刊行する回顧録の内容が話題となっています。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、CIA長官時代に訪朝したポンペオ氏に金正恩総書記が放った「渾身のジョーク」と、ポンペオ氏のユーモア溢れる返答が綴られた部分を紹介。そのやり取りについて、「凡人には演技できない境地」と感嘆しています。

金正恩「私を殺そうとしたことを知っている」。米ポンペオ前長官が回想録で明かした「暗殺計画」

マイク・ポンペオ元アメリカ国務長官が2018年に米朝首脳会談の事前作業のために訪朝した当時、北朝鮮の金正恩国務委員長と「金正恩暗殺」をテーマに冗談を交わしたエピソードを公開した。

17日(現地時間)、フォックスニュースは24日に発刊されるポンペオ前長官の回顧録『一寸も退くな、私が愛する米国のための戦い(Never Givean Inch, Fighting for the America I Love)』の抜粋本の一部を入手し報道した。

この本の中でポンペオ元長官は、米中央情報局(CIA)局長だった2018年3月、自身がドナルド・トランプ当時大統領の特使資格で秘密訪朝した時を振り返った。

ポンペオ元長官は「それは私が計画していたイースター週末ではなかった。私の秘密任務は2018年3月30日の聖金曜日(復活節直前の金曜日)、アンドリュース空軍基地を離陸して始まった」とし「目的地は北朝鮮の平壌だった。私は金正恩委員長に会うために地球上で最も暗い場所の一つに向かった」と書いた。

彼は「任務はごく少数にだけ知らされた完全な秘密だった」とし「私の目標は北朝鮮の大量破壊兵器(WMD)を除去できず、事実上現在の脅威につながった過去の失敗した努力を正すことだった」と説明した。

金正恩と初めて対面した時については、「この小さくて汗に濡れた邪悪な男は、あらゆる魅力を動員してぎこちない雰囲気を払しょくしようとしたが、虐殺犯にふさわしい水準だった」とし、「(金正恩は)『局長(Mr.Director)』と口を開き、『私はあなたが現れるとは思わなかった。私はあなたが私を殺そうとしたことを知っている』」と回想した。

彼は「私と私のチームはこの瞬間(金正恩と対話を始める瞬間)のために準備したが、暗殺に関するジョークは『彼が私を迎える時に言えるリスト』にはなかった」とし「しかし私はCIA長官であり、それ故、彼の機知あふれる発言を理解することもできた」と書いた。

つづいて「私はユーモアで応戦することにした。『委員長、私は依然としてあなたを殺そうとしています』と答えた」とし、「その対話直後に撮った写真で、金正恩氏は依然として笑っていた。彼は私が冗談を言ったと確信しているようだった」と伝えた。

ポンペオ前長官は特使訪朝から約40日ぶりに国務長官資格で再訪朝するなど、数回にわたって平壌を訪れ、米朝首脳会談を調整した経緯がある。2024年の大統領選出馬を秤にかけている彼は、出馬するかどうかを今春明らかにすると公言している。

ジョークではなくて本当だからこそジョークになるのだろう。逆説の逆説さらにまたその逆説といったロジックを駆使して対話が進むとなると、凡人の筆者などにはやはり到底演技できない境地だ。おそれいりましたというしかない。

(無料メルマガ『キムチパワー』2023年1月19日号)

image by: Mike Pompeo - Home | Facebook

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韓国暮らし4分1世紀オーバー。そんな筆者のエッセイ+韓国語講座。折々のエッセイに加えて、韓国語の勉強もやってます。韓国語の勉強のほうは、面白い漢字語とか独特な韓国語などをモチーフにやさしく解説しております。発酵食品「キムチ」にあやかりキムチパワーと名づけました。熟成した文章をお届けしたいと考えております。

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【著者】 キムチパワー 【発行周期】 ほぼ 月刊

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