落日の中国「人口85万人減」で“魅力なき国”へ転落、代わりに台頭する国の名は?

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2022年、61年ぶりに人口減に転じた中国。一人っ子政策の廃止後も出生数は急減し続ける一方という、好ましからざる状況にも陥っています。これまで圧倒的なマンパワーで世界経済を牽引してきた同国には、どのような未来が待ち受けているのでしょうか。今回の無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、世界的投資家の「21世紀は中国の時代」という見方を否定。さらに時代をリードする国としてインドの名を上げ、その理由を解説しています。

インドの時代がやってくる

中国関係で、大きなニュースが二つありました。一つは、中国の人口が減少に転じた。産経新聞1月17日。

中国国家統計局は17日、2022年末の中国の総人口が前年末比85万人減の14億1,175万人だったと発表した。中国の人口が減少するのは1961年以来61年ぶりで、78年に改革開放路線に転じてからは初めてだ。

中国の人口が、61年ぶりに減少したそうです。そして、人口減少は、一時的なものではなく、止まらない流れになっているようです。

中国は1979年から2015年まで、「一人っ子政策」を行ってきました。一人っ子政策は2016年に廃止されましたが、その後も出生数は増えないどころか、むしろ急減しつづけています。

中国の出生数は、

  • 2016年 1,786万人
  • 2017年 1,723万人
  • 2018年 1,523万人
  • 2019年 1,465万人
  • 2020年 1,200万人
  • 2021年 1,062万人
  • 2022年  956万人

7年で年間の出生数が830万人(!)減った。日本も人のことをいえませんが、それでも中国は「驚くべきスピードで出生数が減少している」といえるでしょう。

もう一つのニュースは、中国が「人口世界一でなくなった」こと。同じく産経新聞1月17日。

国連は2022年に発表した報告書で、23年にはインドの人口が中国を超えて世界最多になるとの見通しを示していた。報告書は、22年のインドの人口は14億1,200万人と推計しており、中国国家統計局が今回発表した中国の人口はそれを下回っている。

2022年の人口。インドは、14億1,200万人。中国は、14億1,175万人。それで、インドが中国を抜いて「人口世界一」になった。

21世紀はインドの時代

世界3大投資家のジム・ロジャーズさんは、「19世紀はイギリスの時代。20世紀はアメリカの時代。21世紀は中国の時代」などといっています。

しかし、私は、別の見方をしています。「19世紀はイギリスの時代。20世紀はアメリカの時代。21世紀はインドの時代」になるでしょう。

なぜでしょうか?

「大国の3条件」は、「人口」「経済力」「軍事力」です。インドはすでに、人口で世界一になり、今後も増えつづけていくことが確実。国連の予測では、2050年、中国の人口は13億6,445万人。インドの人口は16億5,897万人。つまり、2050年の時点で、インドの人口は、中国より約3億人(!)多くなる。

では、大国の条件2番目の経済はどうでしょうか?世界GDPランキングで、中国は世界2位、インドは6位です。しかし、見るべきは「将来性」です。一人当たりGDPを見ると、2021年時点で、中国は1万2,651ドルで、世界62位。平均月収は、1,054ドル(1ドル130円換算で13万7,020円)といったところでしょう。

まだまだ貧しく感じますが、企業にとっては、すでに「高すぎる」。それで、10年ぐらい前から、日本やその他の外国企業は、生産拠点をインドネシアやベトナムなど、東南アジア諸国にシフトしてきました。

そして、1980年代、90年代、2000年、2010年代と高成長をつづけた中国は、すでに「低成長時代」に突入しているのです。

では、インドはどうでしょうか?インドの一人当たりGDPは2021年、2,279ドルで145位(1ドル130円換算で、29万6,270円)。平均月収は、約2万5,000円。つまり、まだまだ貧しい。このことは、「巨大なノビシロがある」ともいえます。

企業や投資家にとって、中国は「すでに魅力のない国」ですが、インドは逆に「大儲けできる国」なのです。インドは今世紀半ばまでには、世界一の経済大国になると思います。

大国の条件、3番目の軍事力はどうでしょうか?インドは2021年時点で、すでにアメリカ、中国に次ぐ、世界3位の軍事費大国でした。今後の経済成長に比例して、インドの軍事費はさらに増加していきます。

現在の流れを見ると、インドがいずれ、アメリカ、中国と並ぶ超大国になることは、「決定事項」といえるでしょう。

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