ANAが「週2勤務制度」を導入へ。元CAが感じた、空から始まる働き方の多様性

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週休3日制や4日制が話題になることはありましたが、ANA(全日本空輸)が打ち出したのは、全客室乗務員を対象に「週2勤務」を可能とする制度でした。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』で、全日空の元CAという経歴を持つ健康社会学者の河合薫さんは、ボーイング747から通路1本のナローボディー機へと時代が移り、パイロット1人制が現実味を増していることなど、「変わりゆく空の事情」を紹介。ANAの「週2勤務」については、これからの働き方として他業種へ広がっていく期待とともに、有期雇用や賃金など、根本問題を解決する必要があると伝えています。

プロフィール河合薫かわい・かおる
健康社会学者(Ph.D.,保健学)、気象予報士。東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。ANA国際線CAを経たのち、気象予報士として「ニュースステーション」などに出演。2007年に博士号(Ph.D)取得後は、産業ストレスを専門に調査研究を進めている。主な著書に、同メルマガの連載を元にした『他人をバカにしたがる男たち』(日経プレミアムシリーズ)など多数。

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元CAの視点で考える「変わりゆく空の事情」

ジャンボの愛称で知られるボーイング747の最後の機体が、組み立てラインを離れました。私にとっても愛着のある747型機も、いよいよ終わり、と思うと感慨深いものがあります。

すでに日本の空からは消えていましたが、これで本当にひとつの大きな時代が終わる。それはそれまで当たり前だった飛行機の常識、航空業界の常識が急速に変化し、気がついた時には「そういえばいたね(あるいはあったね)」と懐かしむ、例えるなら公衆電話や切符のような存在になるとともに、新しい当たり前ができるってこと。「私」たちの生活だけでなく、働き方、生き方も変わってゆくのです。

すでにその変化は始まっています。1月18日には、米航空宇宙局(NASA)が、ボーイングと共同で二酸化炭素の排出量を削減した航空機の開発に取り組むことを発表しました。最初の試験飛行は2028年に実施予定で、30年には世界中の空を飛び交う予定です。

“サステイナブル・フライト・デモンストレーター”というプロジェクト名どおり、「持続可能」にプライオリティをおいた飛行機です。747が大量輸送を可能にしたのに対し、こちらは通路1本のナローボディー機。必然的に搭乗するCAもお客さんも大幅に減ります。現在空を飛んでいるナローボティー機の燃費効率を、大幅に向上させるとのこと。地球にも航空会社にも「優しい飛行機」なのです。

また、飛行機の飛ばせ方にも変化の兆しが見えてきました。なんとジェット旅客機の操縦室に乗務するパイロットが、2人ではなく1人のみとする計画が進んでいるのです。

英メディアの報道によると、ドイツや英国、ニュージーランドなど40カ国余りが「パイロット1人の実現」に向け国連専門機関の国際民間航空機関(ICAO)に支援を要請。すでに欧州航空安全機関(EASA)は、パイロット1人で安全飛行ができるよう運用方法決定に向けて航空機メーカーと取り組み、監督ルール策定の準備を進めているそうです。

パイロット1人計画は、2027年にスタートする予定。4年後なんで、あっという間ですから。私たちが爺さん、婆さんになる頃には、「マジ?ウケる~~!パイロット2人もいたの?ヒマそう~~!」という時代の到来ですね、きっと。

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