ANAが「週2勤務制度」を導入へ。元CAが感じた、空から始まる働き方の多様性

 

一方で、CAの「飛び方」はコロナ禍が引き金になり、大きく変わりました。感染防止から対面する機会は制限され、減便により勤務日数も減り、異業種出向、地方居住や副業が認められるようになり、遂にはANAが「週2勤務制度」の導入を決定しました。

これまで育児や介護などの理由に限ってきた条件を改めることで、副業や地方勤務をしやすくすると共に、勤務外の時間を学び直しの時間に充ててもらうことで、非航空分野などの新事業拡大にもつなげる狙いがある、とか。

対象は国内に居住する全日空所属の約8500人の客室乗務員です。特定の路線を中心に乗務することも可能です。ただし、運航に影響を与えないよう制度を利用できる人数に上限を設けるそうです。

いずれにせよ、これまでもさまざまな働き方を可能にしてきたANAですから、きっとこの取組み自体が、持続可能性の追求になるのでは?と期待しています。

それにどんなに「人」から「AI」への代替えが進もうとも、保安要員としてのCAの業務は「人」にしかできません。しかも、その時必要なのは「経験ある人材」です。

これまでの「24時間元気でバリバリの働き方」を終わりにし、「細く長く続けられる働き方」が当たり前になればいいなぁと心から願います。

むろん賃金が減った分はどうする?という問題が今後出てくるかもしれません。しかし、これをきっかけに大きな流れができれば、それでいいのではないか、と。

例えば、欧州のように、基本は無期雇用で有期雇用は禁止する。同一労働同一賃金を確実に実現する。これまで、日本で起きていた問題の根本要因と徹底的に向き合い改善すれば、他の企業や業種でも可能な働き方になるのではないでしょうか。

そもそもジョブ型だのなんだの盛んに取り上げられていますが、本来ジョブ型は同一労働同一賃金とセットで語られるべき問題です。

航空業界が「新しい働き方・働かせ方」の牽引役になることを心から期待します。みなさんのご意見、お聞かせください。

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