ロシアによるウクライナ侵攻開始からまもなく1年、ドイツがついに戦車「レオパルト2」の供与を認めると表明しました。こうしたウクライナ支援の気運を削ぎかねないのが、援助物資や支援金で不正を働く一部の人たちの存在です。今回のメルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』では、著者で国際政治経済学者の浜田和幸さんが、ウクライナの政治家が国外で贅沢三昧との情報を紹介し、支援側の厳しい目に、ゼレンスキー大統領も政権幹部の解雇や公務員への海外旅行禁止などで反応したと解説。こうした難しい情勢下でウクライナ訪問の話が浮上した岸田首相の対応には不安があると記しています。
この記事の著者・浜田和幸さんのメルマガ
腐敗の収まらないウクライナ:岸田首相はいいカモにされるかも
ぶっちゃけ、ウクライナへの軍事支援は強化される一方ですが、援助物資や支援金の横流しや私的流用といった問題が一向に改善されていません。
ドイツはドイツ製の戦車「レオパルト2」を、またアメリカは米軍の主力戦車「M1エイブラムス」を供与すると相次いで発表しました。バイデン大統領はウクライナ軍によるロシアに対する反転攻勢を支援するためと説明。これによって、ウクライナ戦争はますます長期化することが決定的となりました。
ウクライナでもロシアでも被害者は急増しています。なぜ停戦や休戦に向けての交渉が進まないのでしょうか。要は、戦争が長期化することで美味しい汁を吸えるとほくそ笑んでいる「政治家」や「政商」が暗躍しているからです。
日本では「ロシア=悪」、「ウクライナ=善」といった、プーチン大統領に全ての責任を負わせるような論調が主流となっています。もちろん、一方的な軍事侵攻に踏み切ったロシアに非のあることは否定できません。
しかし、ロシアをそこまで追い込んだ欧米側の意図や、それに呼応する形で停戦交渉を拒み続けるウクライナのゼレンスキー大統領にも問題があることも無視できないはずです。
そのことを端的に示しているのが、ゼレンスキー政権の中枢幹部による凄まじいばかりの腐敗と汚職と言えるでしょう。遅まきながら1月24日、ゼレンスキー大統領は首席顧問や4人の副首相を含む政権幹部や激戦区の州知事らの大量解雇に踏み切りました。
これまで欧米諸国によるウクライナへの支援額は2023年に1000億ドルを超える規模に膨らんでいます。ところが、こうした援助物資や支援金の多くがゼレンスキー政権の幹部によって闇市場に横流しされたり、高値で転売され、その一部がリベートとしてキックバックされていることが判明し、今回の大量解雇に繋がりました。
しかも、国民が疲弊しているにもかかわらず、ウクライナの国会議員の多くは、この冬もスペインなどのリゾート地で贅沢三昧の「戦時生活」を満喫しています。さすがにまずいと思ったのか、先週、ゼレンスキー大統領は「公務員の海外旅行禁止」の通達を出しました。
アメリカはウクライナへの援助に際しては「物資や資金の透明性を確保し、腐敗の温床にならないように」と条件を付けていましたが、まったく「糠に釘」状態だったようです。ようやく、アメリカ議会では共和党が中心となり、ウクライナへの支援見直しを主張し始めました。
そこに降って沸いてきたのが2月に想定されている岸田首相のウクライナ訪問です。ぶっちゃけ、人の好い岸田首相がどう対応するのか、気になります。
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