ゴッホ「ひまわり」トマトスープ事件と地球温暖化懐疑論者、どちらがより暴力的か?

 

・いかにして暴力的な地球温暖化懐疑論は生まれた

地球温暖化懐疑論はいかにして生まれてきたか。たとえば、ある科学者が気候変動について問題提起すると、まずそ大学や所属機関にクレームが届き、あるいはインターネット上でバッシングされる対象となる。

罵詈雑言ほか、「共産主義者」「スターリン主義者」と非難されることも。なぜ、共産主義者と言われるか。気候危機対策には、炭素税導入や再生可能エネルギーへ転換など、一定政府入が求められる。

ため、そもそも市場重視右派はそような介入に抵抗感を抱く

地球温暖化懐疑論は、タバコ産業と動きとも類似する。これまでも、「タバコは有害ではない」といった、さまざまな懐疑論があったが、こ方法と同様ロビー活動が地球温暖化懐疑論理論でも用いられてきた。

ただ、近年では、石油メジャーであるエクソンモービルが、約40年以上も前から、気候変動がどれほどひどくなっていくか、驚くほど正確に把握していたという研究結果が発表されている(2)。

研究結果、1970年代後半から80年代にかけ、エクソンモービルが温顔化を63%から83%精度で、「正確かつ適切に」予測していたことがわかった。

予測精度は、1970年から2007年まで用いられてきた政府や科学者によるモデルと同精度だったという。

・日本における地球温暖化懐疑論 

日本における地球温暖化懐疑論者代表格として、「アゴラ 言論プラットフォーム」とキヤングローバル戦略研究所(CIGS)がある。

アゴラは、池田信夫氏が主宰を務め、主に政治や経済に関連した記事を配信するオピニオンサイト。ただ、より悪質なは、CIGS方だろう。

CIGSにおける問題は、2022年2月にイギリス紙ガーディアンでも取り上げられた。

影響範囲は、国際的なメディアから子どもたち、あるいは政策決定機関にまでおよび、気候科学について誤った情報を広め、さらには化石燃料を推進し、結果、日本クリーンエネルギー政策移行を遅らせる要因ともなった。

キヤ科学者でさえ、そ立ち位置を「弁解余地がない」と発言していにもかかわらず、CIGSはいまだ地球温暖化懐疑論・否定論を繰り返す。

CIGS研究主幹による記事は、グレタ・トゥーンベリさんを共産主義であると決めつけ、著作として「SDGs不都合な真実 「脱炭素」が世界を救うは大嘘 「地球温暖化」でいったい誰が儲けているか」などタイトルが付けられている。

また、2022年には中高生を対象とした書籍「15歳から地球温暖化 学校では教えてくれないファクトフルネス」を出版していた。

参考文献

(1)The Guardian『Huge UK public support for direct action to protect environment poll』

(2)https://www.science.org/doi/10.1126/science.abk0063

(『モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)』2023年1月28日号より一部抜粋・文中一部敬称略)

この記事の著者・伊東森さんのメルマガ

初月無料で読む

初月無料購読ですぐ読める! 1月配信済みバックナンバー

※2023年1月中に初月無料の定期購読手続きを完了すると、1月分のメルマガがすべてすぐに届きます。

  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年1月22日(日)号 アフガニスタンは今どうなっている? アフガニスタンの歴史 タリバンとは? 飢餓 女性差別 臓器売買(1/22)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2023年1月21日(土)号 “ガラパゴス”国家の象徴 「駅伝」 その弊害 主催がマスゴミなので報道せず 代わりに教えよう(1/21)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2023年1月15日(日)号 岸田首相“唯一の”レガシー 原発再活用の虚構 「原発回帰は歴代政権が手が出せなかった」 原発燃料、結局はロシア頼み(1/15)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2023年1月14日(土)号 米国下院議長 投票15回目でようやく決まる マッカーシー議員とは? 下院議長とは? 「フリーダム・コーカス(自由議連)」が造反(1/14)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2023年1月8日(日)号 映画版「鬼滅の刃」歴代興行収入1位の影で危惧される日本映画界の未来 ~2~ 東宝一強体制の理由 しかし国際市場では通用せず(1/8)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2023年1月7日(土)号 岸田首相、防衛増税前の「解散」発言が波紋 萩生田氏の口車に乗せられて? 自らの首を絞めるのか(1/7)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2023年1月1日(日)号 中国、「ゼロコロナ」対策転換で感染爆発 若者の反発恐れ、方針転換 今後、死者149万人との予測も(1/1)

いますぐ初月無料購読!

<こちらも必読! 月単位で購入できるバックナンバー>

初月無料の定期購読のほか、1ヶ月単位でバックナンバーをご購入いただけます(1ヶ月分:税込880円)。

2022年12月配信分
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年12月31日(土)号  映画「すずめの戸締り」にみる日本社会の戸締り ”誰が開きっぱなし”の扉を閉めるのか?(12/31)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年12月25日(日)号 国民民主党、連立入り? 自民と国民、共鳴する”民社党”の遺伝子 統一教会との関係も 公明党はどうなる? 創価学会の集票力懸念(12/25)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年12月24日(土)号ディズニー&ジェームズ・キャメロンVS和歌山・太地町&二階俊博 映画「アバター」続編で対立の火ぶたが切って落とされる なぜ日本はイルカ漁に固執するのか? 結局は”利権”目当てか?(12/24)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年12月18日(日)号 防衛省が”ステマ”工作研究? 自称インフルエンサー、所詮は利用される運命(12/18)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年12月17日(土)号 どうなる? サッカーW杯2026年大会 48カ国が参加 グループステージは3試合から2試合へ 高騰する放映権料 もはや“有料”放送が当たり前?(12/17)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年12月11日(日)号 旧統一教会と地方議員の”接点”明らかに 一方、障害者支援施設SANCYO/TANOSHIKAの嘉村裕太は、精神障害者に対し、「政治に文句をいうなら統一教会の支援を受けて政治家に立候補せよ」と圧力 福岡県大川市長倉重良一・久留米市長原口新五も同調(12/11)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年12月10日(土)号 どうなる、岸田首相の行く末は? 退陣? 早くても年内まで?  「検討使」の裏で着々と右翼政策は実行  自民、国民民主と連立?(12/10)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年12月4日(日)号 防衛費増額 有識者会議にメディア関係者  法人税増税盛り込まず 自民党とマスコミ(12/4)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年12月3日(土)号 政治問題化するサッカーW杯 なぜカタールへの招致が決まったのか? カタールと日本 カタールで起きていることは、未来の私たち 地球温暖化とスポーツ(12/3)

2022年12月のバックナンバーを購入する

2022年11月配信分
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年11月27日(月)号(11/27)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年11月26日(土)号(11/26)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年11月20日(日)号(11/20)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年11月19日(土)号(11/19)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年11月13日(日)号(11/13)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年11月12日(土)号(11/12)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年11月6日(日)号(11/6)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年11月5日(土)号(11/5)

2022年11月のバックナンバーを購入する

2022年10月配信分
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年10月30日(土)号(10/30)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年10月29日(土)号(10/29)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年10月23日(日)号(10/23)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年10月22日(土)号(10/22)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年10月16日(日)号(10/16)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年10月15日(土)号(10/15)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年10月9日(日)号(10/9)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年10月8日(土)号(10/8)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年10月2日(日)号(10/2)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年10月1日(土)号(10/1)

2022年10月のバックナンバーを購入する

2022年9月配信分
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年9月25日(日)号(9/25)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年9月24日(土)号(9/24)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年9月18日(日)号(9/18)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年9月17日(土)号(9/17)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年9月11日(日)号(9/11)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年9月10日(土)号(9/10)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年9月4日(日)号(9/4)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年9月3日(土)号(9/3)

2022年9月のバックナンバーを購入する

2022年8月配信分
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年8月28日(日)号(8/28)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年8月27日(土)号(8/27)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年8月21日(日)号(8/21)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年8月20日(土)号(8/20)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年8月14日(日)号(8/14)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年8月13日(土)号(8/13)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年8月7日(日)号(8/7)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年8月5日(土)号(8/6)

2022年8月のバックナンバーを購入する

2022年7月配信分
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年7月31日(日)号(7/31)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年7月30日(土)号(7/30)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年7月24日(日)号(7/24)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年7月23日(土)号(7/23)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年7月17日(日)号(7/17)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年7月16日(土)号(7/16)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年7月10日(日)号(7/10)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年7月9日(土)号(7/9)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年7月3日(日)号(7/3)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年7月2日(土)号(7/2)

2022年7月のバックナンバーを購入する

2022年6月配信分
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年6月26日(日)号(6/26)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年6月25日(土)号(6/25)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年6月19日(日)号(6/19)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年6月18日号(土)(6/18)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年6月12日号(6/12)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年6月11日号(6/11)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年6月5日号(6/5)
  • モリの新しい社会をデザインする ニュースレター(有料版)2022年6月4日号(6/4)

2022年6月のバックナンバーを購入する

image by: Leanne Chan / Shutterstock.com

伊東 森この著者の記事一覧

伊東 森(いとう・しん): ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。 1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。 高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

有料メルマガ好評配信中

  初月無料お試し登録はこちらから  

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版) 』

【著者】 伊東 森 【月額】 ¥330/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 日曜日

print
いま読まれてます

  • ゴッホ「ひまわり」トマトスープ事件と地球温暖化懐疑論者、どちらがより暴力的か?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け