同性婚の未承認だけじゃない。G7の中で「最も恥ずかしい国ニッポン」の時代錯誤

km20230208
 

先進国においては、もはや常識ともいうべき同性婚制度。しかし日本では当然の権利が認められていないばかりか、政府要人が差別的な発言を口にするなど、人権意識の低さが露呈する事態となっています。今回の『きっこのメルマガ』では人気ブロガーのきっこさんが、先日更迭された荒井勝喜首相秘書官が、なぜ性的少数者や同性婚を巡る差別発言を行うに至ったのかを解説。さらに今回の騒動が海外でどのように報じられているのかについて紹介するとともに、岸田政権の時代錯誤感等を強く批判しています。

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今から「当事者のお話を伺う」岸田首相のガラパゴス感、その場しのぎ感、チグハグ感

わずか40日ほど前の12月27日、年末のドサクサに紛れる形で、「政治とカネの問題のデパート」と呼ばれていた秋葉賢也復興相と「差別発言の量産店」と呼ばれていた杉田水脈総務大臣政務官を事実上の更迭とした岸田文雄首相でしたが、今度は自分の右腕であり、演説や答弁書のスピーチライターをつとめていた荒井勝喜(まさよし)首相秘書官(55)を、LGBTに対する差別発言で更迭することになってしまいました。

「(同性愛者など)僕だって見るのも嫌だ。隣りに住んでいたらちょっと嫌だ」
「(同性婚制度の導入には)他の秘書官も皆、反対している」
「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」

これらの発言は、2月3日、首相官邸でのオフレコ前提の囲み取材の中でのもので、各紙、各局の官邸担当の記者が10人ほどいました。こうした首相秘書官のオフレコ取材は、平日はほぼ毎日行なわれており、秘書官側も「首相の意向を伝える場」として活用して来ました。しかし今回は、政権の中枢で政策立案に関わる首相秘書官が、このような時代錯誤も甚だしい人権感覚だという点を重大な問題だと判断した毎日新聞が、事前に実名報道する旨を荒井秘書官本人に伝えた上で報じたのです。そして、各社が後追い報道をしたという流れでした。

各社の報道を受け、荒井秘書官は3日深夜、記者団の取材に応じ、謝罪と発言の撤回をしました。しかし、それは「やや誤解を与えるような表現をしまして、大変申し訳ありませんでした」という、いつものパターンでした。こちらは誤解など1ミリもしておらず、発言内容を正確に理解した上で問題視しているのに、あたかもこちら側の誤解による解釈違いであるかのような物言い、どうしてこれほどまでに往生際が悪いのでしょうか?謝罪するなら潔く自分の非を認めて謝罪する。誤解だと言い張るなら謝罪などせずにきちんと説明する。本来は、この二択のはずです。

ま、それはともかく、この深夜の取材では、とても重要なことが分かりました。それは、まだ報じられていなかった荒井秘書官の発言です。当初は、毎日新聞の担当記者が、オフレコ取材でメモした発言の中で、特に問題だと感じた部分を断片的に報じる形でした。しかし、この深夜の取材では、荒井秘書官本人の確認のもと、その前提の発言も明らかになったのです。それは、以下の発言です。

「(同性婚など認めたら)社会が変わってしまう。社会に与える影響が大きい。(同性婚制度の導入は)社会にとってマイナスだ」

荒井秘書官は、この発言に続ける形で、「他の秘書官も皆、反対している」「隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」などと発言したのです。この報道を受けて、多くの人は「あれ?」と思ったでしょう。そう、一番初めの「(同性婚など認めたら)社会が変わってしまう」という前提です。これって、2日前の2月1日の衆議院予算委員会で、同性婚の法制化について質疑を受けた岸田首相が、官僚の作った原稿を見ながら答弁した内容と同じじゃないですか。

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