同性婚の未承認だけじゃない。G7の中で「最も恥ずかしい国ニッポン」の時代錯誤

 

岸田首相 「(同性婚の法制化は)家族観や価値観、そして社会が変わってしまう課題であり、社会全体の雰囲気や全体のありようにしっかりと思いを巡らした上で、判断することが大事だ」

この岸田首相の答弁は「同性婚の法制化に否定的」と報じられ、ネットでも炎上しました。岸田首相は、バカ息子の外遊観光問題で絶賛炎上中だったため、自ら燃料を継ぎ足した形となってしまったのです。そして、その2日後、首相官邸でオフレコの囲み取材を受けた荒井秘書官が、岸田首相の「社会が変わってしまう」という答弁について首相秘書官としての見解を求められ、「(同性婚など認めたら)社会が変わってしまう。社会に与える影響が大きい」と発言したのです。

これはどう見ても、炎上中の岸田首相の答弁をフォローするための発言であり、この発言に続く「(同性婚制度の導入は)社会にとってマイナスだ」「他の秘書官も皆、反対している」「隣に住んでいるのもちょっと嫌だ」「同性婚を認めたら国を捨てる人が出てくる」などの問題発言も、岸田首相の答弁の方向性を補完するための援護射撃に他なりません。

それなのに、嗚呼それなのに、それなのに…と、このコーナーでも五七五の俳句調で嘆いてしまいますが、荒井秘書官の発言の報道を受けた岸田首相は、「言語道断だ」と述べ、「政権の方針と相いれない」として、マッハのスピードで荒井秘書官の更迭を決めたのです。この素早さは、杉田水脈政務官の更迭を年末まで引き延ばしたことで、低い支持率をさらに下げてしまった経験から学んだことだと思います。

しかし、荒井秘書官にしてみれば、岸田首相の時代錯誤発言を正当化するために、必死に同調したわけであり、「首相秘書官」としての任務を遂行しただけなのです。そもそもの話、岸田首相が「社会が変わってしまう」などと答弁しなければ、荒井秘書官もこんな発言をする必要はなかったのです。もちろん、荒井秘書官の発言内容は決して許されるものではなく、たとえ謝罪・撤回しても更迭は免れられないレベルでした。でも、岸田首相を守るために岸田首相と同じことを言ったのに、その岸田首相から「政権の方針と相いれない」と言われてしまうなんて、ハシゴを外されるにもホドがあります。

2月6日の文化放送『大竹まこと ゴールデンラジオ』にレギュラー出演した経済評論家の森永卓郎さんは、「岸田首相も同性婚を法律的に認めらたどうですかって聞かれて、社会が混乱するからイヤだって言ってるんですよ。荒井秘書官の方がはるかにストレートに差別発言してるけど、やってることは岸田首相も同じじゃないですか」と指摘しました。一方、メインパーソナリティーの大竹まことさんは、「性的少数者は、G7の中で唯一日本だけが同性婚に反対しているのをどう思ってるんだろう?」と、先進7カ国の中での日本の人権意識を低さを問題視しました。

もう少し詳しく説明すると、G7の日本以外の6カ国は、イタリア以外は同性婚を認めており、イタリアも同性カップルに異性間の結婚と同様の法的地位を保障する「シビル・パートナーシップ」を定めています。今回の問題は海外でもこぞって報じられましたが、多くの報道に「日本はここまで人権意識が遅れているのか」という論調が目立ちました。

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