今後も、何かしらの理由で、詐欺ではなく、強盗を行うグループも出てくるとも限りませんし、グループの犯行にみせかけた模倣犯も出てくる恐れもあります。今後も、窓に防犯フィルムを張る。警報音が鳴るなどの対策が必要です。
今回は、何より、フィリピン政府の迅速な対応により、強盗グループの指示役とみられる4人が強制送還されて逮捕となりました。ただ、残念でならないのは、21年の春に渡邉容疑者らが逮捕されて、入管施設に拘束されており、それから一年半以上の長きにわたってスマホを自由に持てた環境だったために、国内では強盗事件が多発したことです。
警察はどうしても、組織的犯罪などの犯人が海外にいると「捜査は難しい」と言って、それで終わりにしてしまいがちです。実際に国際ロマンス詐欺の被害者からもその話を聞いています。しかし詐欺を行う者こそ、どんな悪事を考え出すかわかりませんので、一刻も早く、国内に連れてきて逮捕しなければなりません。
国境を越えた詐欺を、多くの犯罪組織がしているなかで、従来のような姿勢では、今後も同種の被害が増え続ける懸念もあります。ぜひとも、犯罪における海外政府(特に東南アジアや中国)との連携を強めてほしいと思っています。
(メルマガ『詐欺・悪質商法ジャーナリスト・多田文明が見てきた、口外禁止の「騙し、騙されの世界」』2023年2月14日号より一部抜粋)
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