「中国人女性が沖縄の無人島を買った」騒動について
「中国人女性が沖縄の無人島を買った」騒動について、中国と日本での反応を分析してみる。
34歳のTinaさんは起業家として成功し、中国には彼女と同じ成功を収めている若くて優秀な起業家が相当数いる。この動画が注目されたことは、商業的な目的を否定できないわけである。これから彼女が主催する起業家シェアリングセッションを追いかけて参加する人が増えることが予想されるだろう。
中国人女性が沖縄の無人島を買ったことは、多くの中国人が金持ちで、海外に目を向けていることを示している。日本の土地や不動産を購入する中国人がすでに非常に多くなっているのは事実である。これからも中国のお金持ちたちがどんどん日本の土地に目を向けるだろう。
因みに、中国本土では土地の私有は認められていない。中国は社会主義制度として土地の公有制をとっており、土地の所有権は国家または集団に属し、市民は土地を使用する権利のみを持ち、所有権はない。
法的根拠としては、中華人民共和国憲法第10条:都市の土地は国家が所有する。農村と郊外の土地は、法律で国が所有すると規定されているものを除き、集団に属する。居住基地と自留地、丘陵も集団に属する。
中国と違って、日本では私有地を認められる。有名な土地でも私有地であったりする。例えば、富士山の山頂は国有地ではなく、私有地だ。「富士山本宮浅間大社」が所有。富士山の8合目以上は、神社の敷地なのだ。
中国のネットユーザーの反応はさまざまで、日本の土地を買うお金がある人への羨望に始まり、民族主義的な感情の高まりがあった。中国のネットユーザーの中には、興奮しすぎて、中国人が買った日本の無人島が中国の土地になったと勘違いしている人さえいた。
その動画が、一部の中国人の民族主義的感情をかきたてたことは否定できない。海外の中国人が所有している土地は、中国の土地ではない。その島購入の背後には、政府の動きはないだろうと判断したい。
ネット上の言論を見る限り、日本側の考えすぎもあるようだ。実は、中国企業が日本の土地を購入することで騒動になるのは、今回が初めてではない。外国人が日本の不動産を購入するのを制限しようという案も出ていた。例えば、「全ての不動産取引に反社会勢力を排除する特約が設けられているように宅建業法を改正して外国人に対する自主規制を早くなすべきである」とか。しかし、これはなかなか止められない時代の流れである。
多くの日本人は、その無人島が中国のものになり、周辺海域が軍事演習の場となり、中国が無人島を占拠することは日本の国益を損ねることになると懸念している。しかし、島は日本の統治権の範囲にあるかぎり、所有権が誰であっても、関係なさそうだ。
無人島で、リゾート開発といっても、電気水道その他インフラを何もない状態からつくる必要があるので、とても無理である。Tinaさんとその背後にいる企業は、近い将来、無人島を転売するつもりで購入したのかもしれない。今回の動画は、いい宣伝になっている。それ自体がコマーシャルなのだ。
「中国人女性が沖縄の無人島を買った」ことについて、日本人の中国に対する理解はまだ比較的浅いと言わざるを得ない。経済的に豊かになり、野心的になっていく中国とその国民とどう付き合っていくかは、今の日本にとって重要な問題である。平常心を保つことが大事である。
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