訓練不足で多数の戦車を失い前進できぬ露軍
ロ軍が、大量の人員と戦車、装甲車を集めて大規模攻撃に出てきた。ロ軍の攻勢でディプロバを一時占領して、クレミンナの西側のウ軍は後退したが、精密砲撃で多数の装甲車や戦車を破壊して、再度ディプロバを取り戻したようだ。
このため、前進できずにいる。ロ軍機甲部隊の訓練不足でT-90などの新しい戦車などが破壊されているし、航空優勢がないので、ウ軍を叩けていない。もう1つが、HIMARSの射程外に補給基地を置いていることで、補給ラインが長く、補給も十分でないようだ。
クピャンスク方面でもロ軍が攻勢に出ている。ロ軍がフリャニキウカ、シンキフカ、マシュチフカなどを攻撃しているが、ここでも前進できない状態になっている。何週間も同じ地名が出てくることになる。
ついにウクライナに引き渡されたレオパルト2
マリウポリで12回の爆発があったようだ。HIMARSでは射程範囲外であり、150キロ射程のGLSDBが使用されている可能性がある。GLSDBを発射できる発射機が少ないので、現時点では同時に攻撃できる地点が1ヶ所だけのようだ。
マリウポリは、ロ軍兵站の一大拠点であり、ここを効率的に攻撃されると、南部のザポリージャ州、ヘルソン州への軍事物資が滞ることになる。
しかし、HIMARSを前線近くに移動して、ギリギリの距離で攻撃したともいう。まだ、どちらかは分からない。
HIMARSについては、ロ軍は30両近くを破壊したというが、チェコがHIMARSのデコイをウ軍に多数提供して、そのデコイは前線近くに置いているようで、ロ軍が破壊したのは、デコイのようである。このため、時々には本物のHIMARSも前線に出している可能性がある。
一方、ロ軍は、50年以上も前の古いBTR-50を出てきた。このBTR-50は1952年に開発され1954年にソ連地上軍に制式採用された。この古い兵員輸送車を復活させている。弾薬と兵器の枯渇が徐々に進んでいることで、大攻勢を掛けても、装備も訓練が十分でもなく、攻撃力も弱い。
一方、ポーランドは24日、同国が保有するレオパルト2A4戦車4両をウクライナに引き渡した。ウ軍に欧米製戦車の受領は初めてであり、兵器の欧米化が進むことになる。通常兵器での優位性が徐々に上がってくる。それと、ポーランドのモラヴィエツキ首相は「数日以内に60輌のPT-90も到着するだろう」とキーウで発表した。
さらに、ポーランドのブラスザック国防相は「国内に残るT-72やBMP-1を提供してウクライナ軍の旅団を編成する」というので、相当な数の戦車を渡すことになる。ポーランドは30両のレオパルト2A4を提供するし、ドイツは18両のレオパルト2A6を供与する。
スウェーデンも、10両のレオパルト2A5戦車を提供するとしたし、フィンランドも3両、スペインも6両、カナダも8両提供するとした。米国も多数のM1エイブラムスを提供するし、レオパルド1も大量に提供するということで、春までには大攻勢を行える戦車もそろうことになる。
中国は100機もの攻撃用ドローンをロシアに提供か
2月20日にバイデン米大統領がキーウを訪問した。5億ドルの主に弾薬の供与が発表された。21日には、プーチンが年次教書を発表したが、米ロ核軍縮の新STARTの参加を停止するとしたが、他は今までと同じであり、代り映えしなかった。ロシアも長期戦の覚悟であることが分かった。
中国の外交トップの王毅政治局委員がロシアを訪問して、ロシアに武器を提供する可能性について、ブリンケン国務長官が警告したが、100機の攻撃用ドローンをロシアに提供するようである。中国は、否定している。
当初24日に習近平国家主席が和平提案の演説をする予定であったが、その文書のみが出てきた。国際法の尊重や国家主権と領土の維持と書いている。
しかし、ロシア訪問時に、王毅氏とラブロフ外相の会談で和平協議の話は出なかったとラブロフ外相はいう。ロシアは、ロ軍が少し引く停戦に反対したようである。プーチンと王毅氏の会談は、プーチンの一方的なトークであり、王毅氏は圧倒されていた。
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