次は学徒出陣。プーチン人海戦術で戦死多数ロシア軍が準備する「動員命令書」

 

実現不可能となった「3月末までのバフムト占領」という露軍総司令官からの命令

それと、ロ軍の人員損耗が激しく、攻撃要員が不足になり、攻撃力が弱まり、攻撃地点を絞っているようである。特にワグナー軍は、西側のベルキウカとヤギドリウカの攻撃を重点的に行い、バフムト東側や南側は、ロ軍部隊が中心になり、前進できないでいる。一部ワグナー軍もいるが、少数なので、ウ軍特殊部隊が反撃している。

バフムトの南側のイワニフカにロ軍が攻撃しているが、ウ軍機甲部隊が反撃して、郊外まで押し戻した。T0504主要道の交差点にもロ軍は攻撃したが、ここもウ軍機甲部隊に撃退されて、押し戻されている。このため、その地点より南のクルデュミフカを、ロ軍は攻撃し占領したが、この先でウ軍守備隊が撃退した。

ということで、T0504主要道を補給路として、ウ軍は確保したようである。ウ軍は、3月末までバフムトを保持できるめどがついた。ゲラシモフ総司令官の3月末までにバフムトを占領しろという命令は実現できないようである。

この状況で、ワグナー軍のトップであるプリゴジンは、「ワグナー軍に弾薬などの補給がなく、ワグナー軍兵士が多数死んでいる。ロシア国民は、ロシアのためにジョイグ国防相やゲラシモフ総司令官にワグナー軍への補給をするように、要求してくれ」と投稿した。

この投稿に応えて、カディロフは、「ワグナー軍は成功している」と述べて、ロ軍に補給を優先的にするべきとした。そして、カディロフも民間軍事会社を立ち上げて、世界から優秀な戦闘員を集めるという。動員兵中心のロ軍兵の士気が低いので、戦闘に勝つためには、世界から優秀な戦闘員を集めるしかないと見たようだ。

次の動員で最前線に送られるロシアの大学生

しかし、なぜ、ワグナー軍に補給されなかったのかというと、ロ軍の弾薬の保管状態が劣悪だったことで使用できる弾薬が少なく、結果的にワグナーへの弾薬も不足したのではないかとの見解も出ている。

この状況でも、現時点で、ウ軍陣地を突破できているのは、ワグナー部隊しかないことで、ロ軍のゲラシモフ総司令官も、ワグナーに優先的に弾薬を補給するしかない。

プリゴジンもロシア国民の要求で、ゲラシモフ総司令官も補給をし始めたと投稿している。このことからか、プリゴジンとカディロフの両名は、プーチンの年次教書の講演会に出ていない。ロ軍への不満から、プーチンへの不満になってきているようだ。

ということで、ロシア内部の政争で前線のロ軍全体の力も落ちると期待したが、それはなかったことになる。ウ軍にとっては、残念だ。

バフムトの北のフェドリフカにロ軍が攻撃をしているが、ウ軍は撃退している。ワグナー軍がいない地点は、ウ軍守備隊で撃退できるが、ワグナー部隊の攻撃は、相当な練度を積んだウ軍兵士多数が必要であろう。

全体的に、ロ軍の積極的な攻撃で、秋の動員兵も戦死者が多く、残数が少なくなっている。このため、次の動員を考える必要があり、現時点で生産活動をしていない学生動員に向けた準備をしている。

動員準備命令書には、トムスク大学の動員対象の学生名簿の作成を指示ししている。次の動員は、学徒動員になることが明確である。

バフムト以外ではウクライナ軍に歯が立たぬ露軍

ドネツクのボハレダラには、ロ軍海軍歩兵部隊が、戦闘参加を拒否しているという。このため、ロ軍も攻撃できなく平穏無事な状態になっている。アウディーウカ要塞の包囲作戦もロ軍は行っているが、ウ軍守備隊に撃退されている。

マリンカにもロ軍は攻撃しているが、ここでも撃退されて、大損害を出している。

バフムト以外では、ロ軍の攻撃力が弱く、秋の動員兵の訓練が十分ではないようであり、ウ軍の守備隊や増援部隊に負けている。

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