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ウクライナへの武器支援反対デモも。援助疲れの欧州各国

25日G7首脳会議では、ロシアへの経済制裁の強化やロシア側にドローンを提供しているイランや提供する可能性がある中国などを念頭に、ロシアに物的支援の提供を停止するよう第三国にも経済制裁をする方向である。

中国の心配は、米国が米国製ツールで作られた半導体チップが中国に送られることを制限する経済制裁を課すことで、これが発効されると、航空部門の部品を含め、中国経済は深刻な被害を受ける可能性がある。このため、ロシアへの武器提供は控えているが、航空部品を提供して、ロシアで組み立てる方法を考えている可能性はあるとみる。

ロシア経済は、GDPが前年比-2.1%であるが、1年でマネーストックが24.4%も増加した。予算不足であり、中央銀行は紙幣の発行を増やしている。この紙幣増発は、その内にハイパーインフレにつながるリスクがあり、ロシア国民生活を破壊する可能性がある。プーチンが惰性で戦争を継続すると、ロシア国民は生活をも破壊することになる。

しかし、欧州の英独仏も和平協議を望んでいる。そろそろ、援助疲れが出てきている。軍事支援が重くのしかかり、国民の福祉予算が押さえられて、国民の理解が得にくくなっている。25日、ドイツのベルリンでは、ウクライナへの武器支援に反対するデモが行われた。

このため、英スナク首相は、ウクライナ停戦終結後、ウクライナと国防目的で最新鋭の軍事機器、兵器、砲弾をより幅広く入手できるような協定を交わす計画を示した。その上で、この提案を7月のNATO年次会合の議題にするよう呼びかけた。フランスとドイツもこの構想を支持している。

和平交渉の中心に躍り出た中国

3ヶ国は、ウクライナの自信を高め、ロシアとの和平協議を促すとみている。スナク首相は、ロシアが不利な停戦を受け入れられるように、西側諸国は戦場でウクライナを「決定的に有利」にする戦闘機などの兵器を提供する必要があるとした。

そして、ロシアが停戦後で軍事拡張をしても、ウ軍が勝てるようにすることで停戦協議を始められることであり、ウ軍の春の大攻勢で1年前の2月24日以前までロ軍を押し戻した時点で、停戦をする可能性が高いようである。人海戦術のロ軍を完全に押し戻すことはできないと英国防省は見ている。

ロシア防衛産業の生産能力が、欧米の30倍もあることで、弾薬や火砲、戦車の製造能力が高い。しかし、精密誘導兵器は作れないことで勝てないが、長期戦・消耗戦を戦い、ウクライナと欧米諸国の疲弊を待つようである。このため、欧米も停戦をどこかで視野に入れないといけなくなる。

という意味では、中国の提案が英独仏に受け入れられた様にも見える。国際安全保障会議に出席して、王毅氏は、欧州で停戦仲介調整したが、大きな意味を持つ可能性がある。中国が和平分野で大きな力を持つ動きをしたことにもなる。この提案を受けて、マクロン仏大統領は、中国を4月上旬に訪問するとした。和平交渉の中心が中国になってきたようだ。

徐々に、停戦協議に向けた動きが出てくる。特に独仏では、国民のウクライナ支援に対する支持が減少していることが、政権内でも危機的であるとみているようである。

中国の和平案を潰しにかかるアメリカ

日本は、ウクライナ寄りの姿勢が強まっているが、欧州や米国では、ウクライナ支援への国民の関心が弱くなっているようである。

しかし、米国は自国を無視して、中国が動くことに違和感を持っている。このため、中国の和平案を潰す方向に動くことになる。このため、三つ巴の動きが出てくることになる。米国の力が落ちているとも見える。

しかし、もし、ロシアの崩壊なしで、停戦になると、中国の台湾有事の際は、中ロとイラン、北朝鮮などが一団で戦争を始めることになり、第3次世界大戦になる可能性が出てくる。米国はそちらを気にしている。

21世紀は、地球滅亡の世紀になる可能性がある。しかし、当面、戦争が終結する可能性が出てきた。5月か6月にウ軍大攻勢後、停戦交渉が開始するようである。

さあどうなりますか?

(『国際戦略コラム有料版』2023年2月27日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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