勝手に愛人と同棲を始めた配偶者が妻に対して離婚請求をしてもいいの?

Court of Law and Justice Trial Session: Imparcial Honorable Judge Pronouncing Sentence, striking Gavel. Focus on Mallet, Hammer. Cinematic Shot of Dramatic Not Guilty Verdict. Close-up Shot.Court of Law and Justice Trial Session: Imparcial Honorable Judge Pronouncing Sentence, striking Gavel. Focus on Mallet, Hammer. Cinematic Shot of Dramatic Not Guilty Verdict. Close-up Shot.
 

いまから70年以上前にもなる昭和27年の判決が、今でも弁護士の勉強になっているというのをご存じでしょうか。今回のメルマガ『探偵の視点』では、著者で現役探偵の後藤啓佑さんが、「踏んだり蹴ったり判決」と呼ばれるこの判決について詳しく紹介しています。

「踏んだり蹴ったり判決」

探偵や弁護士の中では、浮気が絡む離婚に関するお話には「有責配偶者」という言葉が出てきます。

有責配偶者とは、離婚に至る原因を作った配偶者のことを言います。責任が有る配偶者、ということですね。

浮気をした人も、証拠や要件が揃えばこれに当たります。

そんな「有責配偶者」が絡む判決で、面白い判決があります。その名も「踏んだり蹴ったり判決」です。

昭和27年なので昔の判決になりますが、弁護士の方は今でも全員この判決は勉強するようです。

内容は、勝手に愛人をつくり同棲を始めた夫から、特に非のない妻に対して、離婚請求が許されるかが争点になりました。

これに対し、最高裁判決(最判昭和27年2月19日)は、妻以外の女性と同棲関係にある夫からの離婚請求について、「もしかかる請求が是認されるならば、妻はまったく俗にいう踏んだり蹴ったりである。法はかくのごとき不徳義勝手気侭を許すものではない」として請求を棄却し、以来、有責配偶者からの離婚請求は許されないという判例理論が確立したのです。

これが「踏んだり蹴ったり判決」です。

しかし、この内容はそこから30年経った今、最高裁判決で「有責配偶者からの離婚請求の可否については、別居期間、未成熟子の存在、苛酷状態等の事情を“総合的に考慮”し、有責配偶者の離婚請求が信義則に照らし許されるか否かを判断する」つまり、一定の要件のもとで有責配偶者からの離婚請求も許される場合があるというように変更されたのです。

踏んだり蹴ったりにならない範囲なら、可能ということですね。すごくわかりやすい法律なので、覚えておくと面白いかもしれません。

現場を見ていると、有責配偶者からの離婚請求は“難しい”ですので、有責配偶者にならないようにしましょう!笑

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平成3年生まれ。探偵歴10年。愛知県出身。好きな調査シーンは張り込み。19歳から探偵の修行を始め、他の職業をやることなく社会に出て現在までずっと探偵。中高生の頃から中南米地域に興味があった為、好きな探偵と中南米を合わせよう!ということで23歳のときに中南米で探偵をする為グアテマラ入りをする。グアテマラにて活動後、事業の基盤作りの為帰国。まずはアジアからということで現在はバンコクやマニラなどでの調査を経験しながら、国際探偵への道を走っている。多くの男女トラブルや企業内外の調査を受けている。

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【著者】 後藤啓佑 【月額】 ¥121/月(税込) 初月無料 【発行周期】 毎週 火曜日 発行予定

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