このような交渉のテクニックは、一般によく知られたものです。この本の特徴は、著者の反省でもあると思いますが、「身を守るために」という項目で、相手の術中にはまらないための防御策が書いてあるところです。
例えば、相手の意見をリスペクトしたあとに自己主張する(アサーション)の項目では、勝手に自分の写真を掲載されて抗議したときに、相手が「掲載することで拡散されてメリットがあったのではないか」と反論されたケースが紹介されています。
アサーションのテクニックを知らないと、そのまま相手の意見に納得してしまいがちですが、著者は「そこまで私の気持ちを尊重していただけるなら、」と主張を押し通すことをお勧めしているのです。
身を守るために…写真などが無断で相手に掲載された…拡散することで生じる新たな価値もあるんじゃないかな…そんなに私の気持ちを尊重していただけるなら…反論を押し通す(p221)
内容としては、心理学の活用を説明した名著『影響力の武器』の現代版といった印象でした。この本を読んだだけでは不十分で、実際に使ってみないと、身につかないだろうと感じました。
人間関係に悩んでいる人は、学校で「交渉術」を学ぶ前に、まずはこの本で予習してみたいものです。
犬塚さん、良い本をありがとうございました。
【私の評価】★★★★☆(84点)
<私の評価:人生変える度>
★★★★★(ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(素晴らしい本です)
★★★☆☆(読むべき一冊です)
★★☆☆☆(余裕があればぜひ)
★☆☆☆☆(人によっては)
☆☆☆☆☆(こういう本は掲載しません)
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