アジアから“厄介者扱い”される日本。台湾問題で「取るべき態度」とは?

 

民進党に「日本は台湾が独立に向けた動きをして中国を刺激することに断固反対だ」と告げ、「もしそういう行動をとるのならば台湾との関係を切る」と強く迫ることだ。「日本は第二次世界大戦の反省から平和を希求する国であり、戦争の芽を見付けたら、いち早く摘むことに全力を注がなければならないのだ」と通告すればよいのだ。

さらに、返す刀で中国に対し、「どんな理由があろうと、武力の行使は容認できない。もし使うのであれば、日本はかつてない規模で制裁を行い、かつアメリカの進める対中包囲網にも積極的に参加する」と告げるのだ。

台湾有事が現実となれば、戦いがどこに落ち着こうと、アジアの経済発展は大きく阻害される。投資家は紛争地を敬遠するからだ。なかでも戦いのど真ん中に置かれる日本経済のダメージは、紛争当事国にも匹敵する厳しさになるかもしれない。そうなれば経済規模も、下手をすれば新興国レベルにまで落ち込むかもしれない。

そう考えたとき日本にとっての国益とは、海峡危機で台湾に加担して中国を負かすことではなく、戦争を未然に防ぐことであることが自ずと理解できるのではないだろうか。逆にもし日本が地域の危機をコントロールできることを世界に示すことができれば、少なくともアジアの国々は日本に強い信頼を寄せるのではないだろうか。

しかし残念ながら現在の日本の振る舞いは東南アジアの国々から対立を煽る国として見られている。IPEFを日本で開催した際、ASEANの多く国のトップから「米中対立をアジアに持ち込むな」と苦言を呈されたことは、このメルマガで何度も触れている。

さて、前置きが長くなってしまったが台湾の変化に触れておきたい。象徴的だったのはイギリスの経済紙、フィナンシャル・タイムズが3月6日付で伝えたニュースだ。同紙は複数の関係者の話として、台湾の蔡英文総統が4月上旬、外交関係のある中米のグアテマラとベリーズを訪問するのにあわせてアメリカを訪問。西部カリフォルニア州でケビン・マッカーシー下院議長と会談することで一致したと報じたのだ──
(『富坂聰の「目からうろこの中国解説」』2023年3月12日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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1964年、愛知県生まれ。拓殖大学海外事情研究所教授。ジャーナリスト。北京大学中文系中退。『週刊ポスト』、『週刊文春』記者を経て独立。1994年、第一回21世紀国際ノンフィクション大賞(現在の小学館ノンフィクション大賞)優秀作を「龍の『伝人』たち」で受賞。著書には「中国の地下経済」「中国人民解放軍の内幕」(ともに文春新書)、「中国マネーの正体」(PHPビジネス新書)、「習近平と中国の終焉」(角川SSC新書)、「間違いだらけの対中国戦略」(新人物往来社)、「中国という大難」(新潮文庫)、「中国の論点」(角川Oneテーマ21)、「トランプVS習近平」(角川書店)、「中国がいつまでたっても崩壊しない7つの理由」や「反中亡国論」(ビジネス社)がある。

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