テレビや小説などでよく見る「聞き込み」調査。現実の世界で警察などから聞き込みを受けた経験のある方もいるかもしれませんが、探偵の場合はどのようなことをしているのでしょうか? 今回のメルマガ『探偵の視点』では、著者で現役探偵の後藤啓佑さんが、探偵の「聞き込み」について詳しく語っています。
一般人が思い描くのとは全く異なるレベル。現役探偵が明かす「聞き込み」の事実
“聞き込み”というワードを聞いたことがある人は多いでしょう。何をするのかは、なんとなく文字から予想できますよね。
定義としては、人物から欲しい情報を得る、ということです。これは探偵独自の技術ではなく、実に様々な職業の方々が意識せずに行っていることかと思います。
しかし、探偵が行う“聞き込み”は、一般の方とは全く異なるレベルのものなのです。
それでは、探偵の聞き込みとは一体どのようなものでしょうか?
まず、我々が聞き込みを行うシーンとしては、例として以下が挙げられます。
- 婚前調査の風評調査
- 企業の取引調査
- 人探し調査
など、“尾行”や“張り込み”といった調査方法では入手しにくい部分の情報を得る為に行うことが多いです。
そして、一般の方の聞き込みと大きく異なるのは次の2点です。
- 聞き込み相手の事前調査を徹底的に行う
- 見た目だけではなく、自分の背景まで変装する
1は、聞き込み相手の興味のある分野や行動パターン、勤め先など、とにかく多くの情報を事前に調査しておきます。
もちろん、その際の調査方法は“尾行”や“張り込み”です。
2の“自分の背景まで変装する”のは、“何故今自分が聞き込み相手と話をしているのか”というストーリーを作り上げるからです。
「探偵です。この人物の情報を集めています」
と言って聞き込みするのと、
「先日結婚した妹夫婦がこのあたりに引っ越しを考えているのですが、このあたりは治安はどうですか?」
と聞くのでは、相手の印象も変わります。
その導入で聞き込みを行う場合に、妹夫婦のプロフィールや、何故兄の自分が気にしているのかなどの細部のストーリーを作りこんでおくのです。
聞き込み相手の警戒心をやわらげ、聞きたいこととは関係の無い話題から、情報を取得していきます。
この2点は、やはり一般の方が再現しようとすると非常に困難でしょう。
大手の探偵事務所では、この“聞き込み専門部隊”がいるほどに、修行が必要なことなのです。
そしてその聞き込みスペシャリストの中には、この技術を使って、特定の人物の借金情報や口座情報まで聞いてしまう方もいます。
非常に奥が深い“聞き込み”。探偵の技術の結晶です!
この記事の著者・後藤啓佑さんのメルマガ
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