なぜ、人々は「Amazon」で本を買うのか?から考える差別化の意味

 

米国の巨大小売チェーン、ウォルマートの事例で考えてみましょう

先日、

ウォルマートが自社店舗の半数に、EV充電用のスペースを設置する

と発表しました(日本経済新聞 2023年4月8日より)。

記事によると、巨大な小売チェーンなので、全米で5,300店舗あるそうです。

その半数の店舗に設置となると、莫大な投資金額が必要になります。

しかし、ウォルマートの試算によれば、「米国人の9割が、同社関連の施設から10マイル(約16キロメートル)圏内に住んでいる」ことになるそうです。

この動きは、ウォルマートだけではなく、大手ドラッグストアのウォルグリーンや、コンビニのセブンイレブンも同様だそうです。

小売業では「その店に行く理由」が明確でないと、安定的な集客が望めません。

その理由が“値段の安さ”や、“品揃えの多さ”だけだと、すぐにライバルに真似されてしまいます。

EVはこれから浸透していくでしょうから、地域の人たちに、「ウォルマートには充電施設があるよね」と、認識されれば、選ばれる理由の1つになります。

このあたりが多大な設備投資をしても、実施する価値があると踏んだ背景なのでしょう。

もう1つ、製品周辺で差別化を狙う事例を、考えてみましょう。

サントリー天然水が、折りたたんで6分の1になる新容器を開発しました。

ITmediaビジネス 2023年4月5日の記事によると、

「新容器は、つぶして、たたんで、ロックできるのが特徴だ。『つぶしたのに元に戻ってしまう』『回収日まで家の中でかさばる』といった声が消費者から寄せられており、こうした不満の解消を目指して開発を進めた」

とあります。

「コスパ」ならぬ、スペースパフォーマンスを、重視した容器になりますよね。

このような製品周りで差別化する動きは、他業界でも続々と出ているようで、

家具大手のニトリが販売する、ポケットコイルマットレスは、処分する際に分解しやすい、「かんたん分別」構造になっている」とのことですし、ジャム最大手アヲハタが、22年8月に販売を始めたボトル容器入りジャム、「アヲハタ Spoon Free」は、スプーンを使わず、片手でさっと使える仕様となっている。

とのことです。

どうでしょうか?

ウォルマートのEV充電スペースの設置は、売り物ではなく、購買体験の前後に、便利さを付加していますよね。

またサントリーの潰して畳めるボトルも、ジュースを飲み終わった後の、廃棄体験の時に感じる不便さを、減らしていくことで、やはり価値を付加をしています。

こうしてみると、顧客が自社製品を見つけ、調べ、比較し、買い、使い、その後廃棄するまでの、一連のプロセスの中で、私たちができることは、まだまだ多くありそうですよね。

このような差別化ポイントは、ユーザーのカスタマージャーニーの分析と、バリューチェーンの見直しを、同時にやることで見つけられます。

まずは、それぞれの過程で、顧客が何をしているか、不便に感じていそうなことはないか、を、棚卸しすることから始めるといいでしょう。

あなたも、ぜひ今日からやってみてください。

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