「高タンパク食」は腎機能に悪影響?糖質制限食提唱医に聞いてみた

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糖質を摂りすぎないようにしている人は、必要なエネルギーを賄うために普通の人よりタンパク質を多く摂る傾向にあります。この「タンパク質の摂りすぎ」が腎機能に悪影響を与えるのではないかとの質問に答えるのは、糖質制限食の提唱者として知られる江部康二医師です。今回のメルマガ『糖尿病・ダイエットに!ドクター江部の糖質オフ!健康ライフ』では、厚生労働省の資料と、江部先生自身のタンパク質摂取量からの見解を明らかにしています。

タンパク質の摂取量と腎機能

Question

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「プロテイン飲料を常用し続けたところ、タンパク質の過剰摂取となり、腎不全になった」と主張する人がいます。最近では、タンパク質の量の多さと腎臓の病気は相関関係が無いということは論文などで確認されていて、有力なエビデンスがない状況だと思います。

医学的な観点で理論的に考えたら、タンパク質を大量に分解した時に出る副産物の尿酸、尿素窒素、クレアチニンなどが腎臓に負担をかけ続けるから、腎不全につながるとも考えられます。お考えをお聞かせ下さい。

江部先生からの回答

この方は結果として腎不全になったとしても、「高タンパク食を摂取したから腎不全になった」と単純に決めつけることはできません。腎炎、高血圧、糖尿病、膠原病、喫煙、お薬、ウィルス疾患など感染症、脱水…様々な疾患や要因が腎不全発症に関与しています。

「日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要」(厚生労働省)の、8ページに、たんぱく質の食事摂取基準が載っています。(推定平均必要量、推奨量、目安量:g/日、目標量(中央値):%エネルギー)

「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」報告書においては、たんぱく質の耐容上限量は設定しないと記載してあります。

II 各論
たんぱく質(PDF:1,149KB)

 

<97ページ>3.過剰摂取の回避

 

3-1.耐容上限量の設定

 

たんぱく質の耐容上限量は、たんぱく質の過剰摂取により生じる健康障害を根拠に設定されなければならない。

 

しかし現時点では、たんぱく質の耐容上限量を設定し得る明確な根拠となる報告は十分には見当たらない。そこで、耐容上限量は設定しないこととした。

厚生労働省によれば、現時点では、正常人がタンパク質をたくさん食べて危険という根拠もないけれど、たくさん食べても安全という根拠もないということです。

まさに、自分で考えて選択して自己責任で食事療法を実践することとなります。ちなみに、江部康二は、糖尿病発覚の2002年(52才)からスーパー糖質制限食を開始して現在まで続けています。

タンパク質の摂取量は、1日あたり130~140gくらいと、普通人よりかなり大量のタンパク質を摂取してます。体重1kgあたり2.4gのタンパク質です。(2.4g/kg)

一般には、

  • 運動をあまりしない人では、0.8g/kg、
  • 軽い運動実践者は、0.8~1.1g/kg、
  • アスリートや運動習慣のある人は、体重1kgあたり1.2~1.8g

のタンパク質が必要とされています。

私の場合、早歩きを1日に60分くらいで、運動習慣はありませんが、アスリートより、はるかに多いタンパク質摂取量ですね。それでも尿酸は低めですし、腎機能に何の問題もありません。

1日に平均約8000歩、そのうち速歩が5000~6000歩で、距離は6~8kmくらいです。

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(財)高雄病院および(社)日本糖質制限医療推進協会 理事長。内科医。漢方医。京都大学医学部卒、同大胸部疾患研究所等を経て、1978年より医局長として高雄病院勤務。2000年理事長就任。高雄病院での豊富な症例をもとに、糖尿病治療、メタボ対策としての糖質制限食療法の体系を確立。自らも二型糖尿病であるために実践し、薬に頼らない進行防止、合併症予防に成功している。

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