衆参補選で全敗。自民党を“救った”立憲民主党の「戦略的だらしなさ」

 

大分、千葉で自民を救った立憲の最後まで詰められない体たらく

参院大分選挙区は、自公が推す白坂亜紀に対し、立憲所属の参院議員を一旦辞職して立候補し共産・社民も推薦し国民も支援に回って野党統一候補となった吉田忠智との一騎打ち。大分は、村山富市元首相の地盤で労働運動も盛んなところで〔吉田も村山も自治労出身〕、立憲が勝つ可能性があり、泉健太代表も「最重点の必勝区」と位置付けて蓮舫=参院議員や枝野幸男=前代表らエース級を送り込んだ。が、何と、僅か341票差で白石に負けた。

自民党からすれば、これだけの条件がありながら最後まで詰められない立憲の体たらくに助けられて幸運な1勝を拾った形である。

大分とは反対に、衆院千葉5区では、政治とカネの問題で自民を離党、略式起訴された薗浦謙太郎の辞職に伴う選挙。野党が大分のようにまとまれば勝つ可能性が大いにあったにも関わらず、何と、立憲、国民、維新、共産が譲らず野党乱立となり、それでも自民の公募による新人=英利アルフィヤの50,578票に対し立憲新人の矢崎堅太郎=元県議が45,634票と4,944票差にまで迫る大健闘を見せた。

国民は24,842票、維新は22,952票、共産は12,360票を取ったので、立憲がどこか1つと組めば悠々と勝てたはずで、実際、立憲は当初、維新との協力を打診したが、前半戦以来「全国化」の勢いが出てきたと自認している維新が候補取り下げに応じるはずがなかった。泉代表は、共産との共闘を嫌っているため、維新との“中道連合”を試したかったのだろうが、その条件が皆無なのにそれにこだわる政治音痴によって大事な星を失った。共産側には千葉5区の候補者調整について「打診すらなかった」としている。

大分、千葉とも、立憲の戦略的なだらしなさが自民を救った。

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