抗酸化作用のあるビタミンE、不飽和脂肪酸(オレイン酸)などの栄養素を豊富に含み体に良いとされるナッツ類。なかでもクルミは、アマニ油やエゴマ油で注目されたα-リノレン酸が多く、医学界でも関心の対象となっているようです。今回のもりさわメンタルクリニックの無料メルマガ『精神医学論文マガジン』では、クルミ摂取が神経発達や注意機能にどう影響するのか調査したスペインバルセロナでの最新研究について紹介しています。
クルミを食べることで注意集中や遂行能力に良い影響があるかもしれない
α-リノレン酸:omega-3 alpha-linolenic acid(ALA)は神経発達において重要な栄養素であるとされており、特にクルミにはα-リノレン酸が多く含まれています。
今回は、クルミの消費が多い場合に神経発達や注意機能などにおいて、良い影響があるのか調べた研究をご紹介します。
健常な思春期若年者を対象とした神経心理学的発達におけるクルミ摂取の影響
スペインのバルセロナにおける研究で、健常な11~16歳の771人を対象としています。
2つのグループに分けて、クルミを1日に30g摂取する場合の影響を6か月の経過で調べました。結果として、以下の内容が示されました。
- 血中のリノレン酸濃度はクルミ摂取のグループで上昇していました。
- 神経心理学的な様々な指標におけるグループ間での差異は明らかではありませんでした。
- クルミ摂取の基準が良く守られていた場合(規定順守の程度が良かった場合)には注意機能、流動性知能(知能、問題解決など)、ADHD傾向において向上(改善)を認めていました。
要約:『クルミ摂取と注意機能等の神経心理学的な機能向上には関連性があるかもしれない』
あまりはっきりとした差異ではありませんが、日常生活においてリノレン酸を豊富に摂取することは神経発達を促進する可能性が考えられました。
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