与党の“おこぼれ”欲しさの醜態。学会員も戸惑う「公明党の右往左往」

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自公連立政権が誕生したのは1999年10月のこと。発足当時は自自公連立、自公保連立でしたが、公明党は民主党政権時代に下野した期間を除き、現在に至るまで自民党と協力関係を結んでいます。そんな公明党や現代表の山口那津男氏に「盗っ人猛々しい」と痛烈な批判の言葉を浴びせるのは、辛口評論家として知られる佐高信さん。今回のメルマガ『佐高信の筆刀両断』では、公明党や党代表による「与党のおこぼれ」狙いの右往左往ぶりを取り上げて、「醜態を晒している」と憤慨しています。

公明党の右往左往

早野透の『政権ラプソディー』(七つ森書館)を開く。『日刊スポーツ』に連載したコラム「政治の時間」をまとめたものである。その2006年12月3日付けの見出しが「児童手当の見返りが『防衛省』とは」。

同年11月30日、防衛「省」昇格法案が公明党の賛成を得て衆議院を通過した。防衛族の自民党元幹事長、山崎拓に早野が「ずいぶんあわただしくやるね」と尋ねると、山崎はこう答えたという。

「これは自民、公明と保守の3党連立のときからの合意だった。公明党は児童手当を小学校3年まで拡充したい。それを認めるから、代わりに防衛省昇格に協力してくれとなっていたんだね。今回、公明党は、来年の地方選や参院選の前に省昇格を片付けてくれと言うんだよ。やっぱり選挙に響きかねない微妙な問題だからね。当時の保守党の二階俊博さんが自民党に戻って国会対策委員長なのも大きかった」

およそ15年前の話だが、早野も指摘する如く、「そんなことでいいのかね」。そんな公明党が「平和の党」などと言うのは詐欺以外のなにものでもないだろう。

早野は、どうしても「防衛庁」から「防衛省」にしたいなら、しっかりしたシビリアンコントロールを結んでいるが、ブレーキ役などという公明党のブレーキはまったく役に立たない。すでにアクセルと化しているのだ。

公明党および支持団体の創価学会のみっともなさは、2020年の大阪都構想をめぐる住民投票で顕わになった。その前の時は反対したのに、維新に脅されて賛成に転じたからである。これでは創価学会員も戸惑うばかりだろう。

公明党代表の山口那津男は図々しくも「大阪市民の選択の結果を厳粛に受け止めたい」と殊勝なことを言いながら、「あえて次のことを指摘しておきたい」として、「市民を真っ二つに分断した結果のしこりを残さないこと」を挙げている。どの口でこう言うのか。5年前に反対で今度は賛成という公明党の態度が混乱を招き、「市民を真っ二つに分断した」のではないか。

また、山口は「今回の結果が、国政における自公連立政権の枠組みに直ちに影響はないと言ってきた」と続けているが、これを知って怒らない自民党員とその支持者はいないだろう。横っ面を張っておいて、これは大したことではないんだから気にするなと一方的に言われても、バカにするなと憤慨するしかあるまい。

「今度とも、安定した自公の政権運営に揺らぎを与えてはならないとの責任感で対応していきたい」と山口は述べているが、「揺らぎ」の原因をつくった当人がこんなことをほざくのだから、盗っ人猛々しいと批判するしかない。

与党のおこぼれだけはもらいたいと思っているから、こんな醜態をさらす。公明党は一刻も早く野党に戻るべきなのだ。

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