5月5日石川県珠洲市で震度6強、11日には千葉県木更津市で震度5強の地震があり、改めて地震大国であることを実感した人も多いのではないでしょうか。今回のメルマガ『週刊 Life is beautiful』では、Windows95を設計した日本人として知られる中島聡さんが、ニュース番組のYouTubeビデオを紹介。日本の耐震基準はタワーマンションの安全性を担保しているわけではないという建築耐震工学の専門家の衝撃発言について、日米の違いを交え、法律で義務化すべきことがあると訴えています。
私の目に止まった記事:東京湾岸タワマンの危険性が一目で分かるYouTube動画
● 【地震】築古家屋のリスクは?耐震基準と地盤の関係は?東京湾岸タワマンは?都市に集まりすぎ?|アベプラ-YouTube
たまたま目にしたYouTubeビデオですが、東京湾岸のタワーマンションが持つリスクがいかに高いかを、専門家が分かりやすく説明しているビデオで、一見の価値があります。
このビデオの中で、専門家の方が「日本国憲法には、日本人には皆平等の権利があるため、それに基づいて、耐震基準はどの土地にも同じものが適用されている」と発言されていますが、それが結果として「危険な土地に住宅地を作って販売する」ような悪質なビジネスを生み出してしまっている事実に着目し、適切な法律を作ることがとても重要だと思いました。
私は、米国で、崖の下に小屋を建てようと計画したことがありますが、崖の下に家を建てる場合には、万が一の崖崩れの際にも家が破壊されないように、コンクリートの壁を作らねばならないというワシントン州の法律があることを知り、(コストの面で)あきらめたことがあります。この辺りに、日本と米国の法律に(そして、法律に責任を持つ政治家の姿勢に)大きな違いがあると感じました。
土地と建物の共振の話もとても重要ですが、「共振まで考慮すると、建築コストが高くなり過ぎるので、普通は考慮しない」という部分にも政府のだらしなさを感じました。地震国である日本においては、共振を考慮して設計することは必須であり、法律で義務付けるべきです。
ちなみに、私の父は、大手の建設会社で高層ビルの建築に携わっていた技術者ですが、タワマンに関しては懐疑的でした。地中深くに杭を打ち込んで建てるため、建物が地震で倒れたりすることはないそうですが、一階部分が接地している地盤が埋立地で弱いため、地震で地盤が崩れたり液状化した結果、マンションとして使い物にならなくなってしまう可能性は十分にあるとのことです。(『週刊 Life is beautiful』2023年5月16日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみ下さい。初月無料です)
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