多くの遺体から摘出されていた臓器
さらに問題なのは、多くの遺体が腹部などを切られて臓器が無くなっていたことです。捜査当局は「大規模な臓器売買が組織的に行なわれていた」と見て捜査を進めています。そして、4月27日、今度は南部キリフィにある別の教会の牧師、エゼキエル・オデロ容疑者が「信者の大量殺戮に関連する容疑」で逮捕されました。
オデロ容疑者はテレビにも出ている人気者の牧師で、彼のYOU TUBEチャンネルは合計で400万人ものフォロワーがいるそうです。飲むだけでどんな病気も治るという「生命の水」を売っているというだけでイカサマ感がマンマンですが、ケニアでは飛ぶように売れていると言います。
オデロ容疑者が所有する教会は、東京ドーム6個分もある広大な私有地に建てられており、そこには大きな宿泊施設やガソリンスタンドまで併設されています。週末になると各地から信者が集まって来て、宿泊施設は満員になるそうです。オデロ容疑者を逮捕した後、捜査当局は施設内に閉じ込められていた100人以上の信者を救出したそうです。
そんなエゼキエル・オデロ容疑者ですが、1月に釈放されたポール・マッケンジー被告が、多くのフォロワーを持つ自身の伝道チャンネルをオデロ容疑者に売却していたことが分かったのです。そして、それだけでなく、マッケンジー被告による「臓器売買疑惑」を追っていた捜査当局は、この事件に関して、マッケンジー被告側からオデロ容疑者の銀行口座へ巨額のカネが振り込まれていた証拠を掴んだのです。そのため、捜査当局はオデロ容疑者を逮捕したのですが、同時に、オデロ容疑者の20以上ある銀行口座をすべて凍結しました。
一方、ポール・マッケンジー被告は、取り調べに対して「教会は4年前の2019年に閉鎖し、以来、宗教活動は行なっていない。現在は牧場を経営している」などと述べています。しかし、捜査当局は、マッケンジー被告が2020年以降も大規模な宗教集会を行なっていた証拠を掴みました。そして、マッケンジー被告が現在住んでいる牧場の敷地内からも、複数の遺体が掘り起こされました。
それにしても、あたしが不思議に思ったのは、当初の警察や検察の対応です。マッケンジー被告は、今年1月に、信者の2人の子どもを窒息と餓死で殺害した容疑で逮捕されたのですが、その後、すぐに保釈されているのです。そして、その後も信者らが殺され続けたのです。この時にマッケンジー被告を起訴して身柄を拘束し、徹底的に捜査をしていれば、多くの信者を救うことができたかもしれないのです。
ケニアの上院議員の中にも、この時に警察と検察が簡単に保釈したことで、シャカホラの森での信者の大量殺戮に拍車が掛かったのだと批判している人たちがいます。そのため、ケニアの司法当局は、「この事件を処理した司法官と職員による不正行為があったかどうかを内部調査する」という声明を出しました…と思ったのも束の間、今度は4月27日に逮捕されたエゼキエル・オデロ容疑者が、わずか1週間で保釈されてしまったのです。
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