成長著しい中国の自動車業界。そんな中国の新興EV「御三家」としても知られるメーカーのセンサーが、看板の人物像を歩行者と誤認するバグを起こしたといいます。中国の自動車業界情報を届けているメルマガ『CHINA CASE』で詳しく解説しています。
看板の人物像を実際の歩行者とセンサー誤作動、自動車が急減速
四川省カンゼであるオーナーが中国新興OEM理想(Lixiang)の中大型SU REEV「理想L7」を80km/hで運転中、突然自動的に20km/h台まで急減速、オーナーはその後手動に切り替えて急停止した。
この事態をLixiangに報告、公式にLixiangはセンサーのバグであることを認めた。とある看板の人物像を歩行者と誤認したという。
LixiangのADAS(先進運転支援システム)は2023年1月にもディスプレイに異質な表示現象のバグが見つかっており、販売好調の裏でリスクも抱えていることが明らかになった。
何が起きた?
現場の写真を確認すると、道路の左前方に、確かに陸上短距離走などのクラウチングスタートのような姿勢を取っている人物像が描かれている大きな看板があることが分かる。
【参照】現場写真掲載記事
https://auto.gasgoo.com/news/202305/31I70343446C601.shtml
これに対してLixiangはレーザーレーダー(ライダー)によるバグと説明したことにより、中国ではまた議論になった。ライダーは通常、距離、方角、高さ、速度を測定するものであり、歩行者検知と関係ないという技術的な理由のため。
ライダーも別々の色を反射率の違いにより測定する場合があり、今回の広告の色合いをライダーが識別した、という可能性もあるため、一概にLixiangの主張を否定するものではないことも議論に拍車をかけた。
トンデモ精度?
ただ、普通に考えて、現場の写真を見ても、これはライダーの不具合というよりは、カメラの不具合と考えた方がよさそう。どちらにしろセンサーが過剰に反応し、広告に描かれた人物像を実際の歩行者と勘違いして、車が自動で急減速してしまったようだ。
一方で、広告は道路面と比べはるか頭上にあり、また確かに人物像が描かれているものの、これを実際の歩行者と勘違いするセンサーの精度やアルゴリズムには確実に問題がある、とも指摘されている。
Lixiangは以前にも、夜間の雨の中、60km/h程度で走行中、センターコンソールのディスプレイに車両の後方に人らしき影が映った件が話題になった。これもLixiangは公式にバグであることを認めた。
ただ、ディスプレイの異常表示と比べ、今回は急減速するという異常運転であり、運転手の生命に直結する問題。対応次第では大きな問題になる可能性がある。
出典: https://auto.gasgoo.com/news/202305/31I70343446C601.shtml
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image by: Andy Feng/Shutterstock.com