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Google日本元社長が憂慮。国民に回って来る岸田首相を野放しにした“ツケ”

たびたび取り沙汰される、バイデン大統領の奇行や失態。つい先日は日本の防衛費の大幅増額を自分の手柄とするような「失言」が物議を醸しました。なぜ一国の大統領たる人間が、そのような不用意極まりない発言をするに至ったのでしょうか。今回のメルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~』では『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』等の著作でも知られる辻野晃一郎さんが、一連のバイデン発言の意味するところを解説。さらに対米追従一辺倒の岸田首相を野放しにする日本国民に対して強い警告を発しています。

危機を煽り「防衛費増」強要。米の言いなりで最前線に立たされる日本

6月16日、米コネティカット州で開催された銃規制法案関連の会合で演説したバイデン米大統領は、突然「God save the queen, man!(女王陛下万歳!)」と言って演説を締めくくり、波紋を呼びました。

最後のmanというのは特に意味はないのですが、boyなどと同じく、相手に呼びかける時や驚いた時などに若者や黒人がよく使う表現です。大統領がスピーチで使うのはあまり品がいいとは言えないのですが、バイデンは好んで使い、トランプに向けた「Will You Shut Up Man?」というTシャツやパーカーを作っているほどです。

この時の映像はこちらをご覧ください。

聴衆が拍手の瞬間、場違いな締めくくりの言葉に少し戸惑っている雰囲気が感じ取れます。またこの後、ステージのどこから降壇していいのかわからなくなり、SPか側近が慌てて駆け寄ってエスコートしている様子もわかります。

他にも、先週、インドのモディ首相が訪米したときのセレモニーで、モディ首相の手を握ったまま離さなくなってしまい、咄嗟に夫人のジルが歩み寄ってサポートする映像なども出回っていました。こちらをご覧ください。

バイデン大統領は、もともと不規則発言が多いことで知られていますが、加えて、最近は上記のような奇行も目立つようになり、認知症の進行がまことしやかに噂されています。さらには、最新の話題として、息子のハンター・バイデンの問題で、IRS(米国の国税庁)から内部告発者が現れ、バイデン大統領と司法長官を弾劾する動きも出てきているようです。

日本人としては到底看過できないバイデンのトンデモ発言

そのバイデン大統領が、やはり先週20日、カリフォルニア州での支持者を集めた集会で、日本人としてはとても看過できないトンデモ発言をしました。以下のような主旨のものです。

「日本は防衛予算を長い間増やしていなかったが、私は広島を含め3回日本の指導者と会って説得した。彼自身が何か違うことをしなければと思うに至り、日本は防衛費を飛躍的に増やした」

日本の防衛費の大幅増額について、自らが直接岸田首相に繰り返し働きかけた成果だったとアピールしたのです。日本とNATOとの関連についても、

「日本も巻き込むことができると思っていた。日本が欧州での戦争に関心を持ったのはいつ以来だろうか」

などと述べて、ウクライナ支援に対する日本の積極姿勢も自分が引き出したものだとアピールしました。

ちなみに、この発言の中でも、バイデン大統領は岸田首相のことを「議長」や「大統領」などと何度も言い間違えた上で、結局首相(Prime Minister)という言葉が出て来ずに、単に「日本の指導者」と呼んでいました。広島のG7サミットでも「大統領」と言い間違えていたようですが、進行が噂される認知症の影響なのか、それとも日本や岸田さんの事をまるで下に見ていて無関心なのか、いずれにしても失態が目立ちます。

【関連】防衛費“大増税”で日本国民を殺す、岸田文雄「バイデン発言に抗議するフリ」の姑息

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アメリカから未だ占領国扱いされる日本

同様の集会で、バイデン大統領は「習近平は独裁者」とも発言して、直前にブリンケン国務長官が北京を訪問して習近平とも面会し、中国との融和に向けて動いた成果に水を差すような形にもなりました。今回は、これら一連のバイデン大統領の発言を私なりに読み解いておきたいと思います。

まず、岸田首相は以前から、「我が国の防衛費は、我が国が主体的に決めるものであり、決して対米公約ではない」と発言しています。今回のバイデン発言についても、官邸側は火消しに必死でしたが、防衛費増額に至る流れの背景に米国からの圧力があったことは疑いようがありません。

この流れは、第二次安倍政権時代に、安倍元首相が、トランプ前大統領の機嫌を取る為に、FMS(Foreign Military Sales、対外有償軍事援助)による米国製武器の爆買いを約束したことに端を発していると言えます。FMSについては以前のメルマガでも触れましたが、同盟諸国が米国から武器を購入する場合、メーカーからの直接購入ではなくて、米国政府を通して言い値で買わされるという、実に一方的で不平等な仕組みです。

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安倍元首相の路線を継承する岸田首相は、昨年末、具体的な必要性や詳細な内訳を明らかにしないまま、突然NATO諸国並みのGDP比2%という防衛費引き上げを打ち出しました。これについては当初から、対米追従の一環として米国の要求に従った結果だと指摘されてきましたが、今回のバイデン大統領の発言は、まさにそれを裏付けたものと言えます。

言うまでもなく、日本は戦後一貫して対米追従路線を歩んでいますが、ここのところ特にその傾向が強まっています。もうほとんど言いなりと言っても良い状態でしょう。

象徴的なのは、2017年にトランプ元大統領が初来日したときに、表玄関の羽田や成田ではなく、横田基地から入国し、当時の安倍政権がそれを黙認したことです。それまでは、さすがに米国も配慮して、米大統領をはじめとした米政府高官が来日するときには、原則として羽田空港を使っていたかと思います。しかしトランプ以降、米軍基地から入国するのが恒例化してしまい、先日の広島でのG7サミットでも、バイデンは岩国の米軍基地に降り立ちました。大手メディアも特に何も言いませんが、このような行為は、利便性などで片付けられる話ではなく、明らかな主権侵害に当たる行為だと思います。未だに占領国扱いというわけです。

黒幕はCIA。ジョン・F・ケネディ暗殺の真相

話は変わりますが、長く謎とされてきたジョン・F・ケネディ(JFK)元大統領暗殺の真相が、昨年末までに米国政府が公開した機密文書などによって概ね明らかになり、黒幕はCIAであったことがほぼ判明しています。加えて、次期米大統領選挙での民主党候補としてバイデンの対抗馬となる可能性があるJFKの甥ロバート・F・ケネディ(RFK)ジュニアが、最近それを裏付ける証言を米ポッドキャストの人気番組で行っています。ちなみに、彼の父親でJFKの弟であるRFKも、JFKが大統領の時に司法長官を務めましたが、JFK暗殺後に大統領選に立候補し、やはり凶弾に倒れて兄と同じ運命をたどったことは周知の通りです。

RFKジュニアの証言によると、JFKは、CIAが常に新しい戦争を世界のどこかで起こし続けようと画策していることに早くから気が付いていたそうです。キューバへの米軍侵攻や、ベトナム戦争への参戦を盛んにけしかけてくるCIAと国防総省に対して、JFKは他国への軍事介入を明確に拒否していたそうです。それでも、言葉巧みに自分を騙そうとするCIAを毛嫌いしていて、CIAの解体すらも考えていたようです。

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日本の頭越しにちゃっかり中国と和解に向かうアメリカ

通説では、JFKはベトナム戦争への介入を加速したとされていますが、RFKジュニアの証言によると、真逆だったそうです。米国はベトナムに既に軍事顧問団を派遣していましたが、JFKはベトナムからの米軍完全撤退を命ずる大統領令に署名し、その直後に暗殺されたとのことです。その結果、有名なトンキン湾事件をきっかけに、米軍の正式軍事介入が決まり、ベトナム戦争は泥沼化していくことになりました。なお、北ベトナム海軍が米海軍を攻撃したとされたトンキン湾事件も、後に米国が仕組んだものだったことがわかっています。

JFK暗殺の真相や背景がこの通りだとすると、米国の言いなりになるのは極めて危険であることがよくわかります。実際、日本の防衛費増強の流れは、もともと米CSIS(戦略国際問題研究所)などが言い出した「台湾有事」なるものによって盛んに煽られてきました。第二次安倍政権時代から、盛んに「台湾有事は日本有事」という表現が使われるようになり、岸田政権になってからは「明日の東アジアは今日のウクライナ」という表現も加わって、日本政府は防衛費増強に向け、国民の危機感を募らせてきたと言えます。

しかし、少し冷静に考えれば、台湾有事が実際に起きる可能性など最初からそれほど高くないことはすぐにわかります。米中の経済的な相互依存関係からしても、米中が本気で武力衝突することなど考えにくく、台湾の独立派もごく少数派に過ぎません。中国は、「台湾が独立しようとしない限り武力行使は行わない」と最初から明言しています。先日のブリンケン国務長官の北京訪問では、米国も「台湾の独立は支持しない」と敢えて声明を出しました。これまでの表向きの米中対立路線を、あっさりと融和路線に切り替えたわけです。日本には盛んに危機を煽って防衛費増強を約束させておきながら、日本の頭越しにちゃっかり中国とは仲直りしているわけです。

バイデンの「習近平は独裁者」という先の発言は、認知症によるものかは別にして、単なる不規則発言か、または米国内の対中強硬派に対する配慮でしょう。その上で、仮に軍事衝突が起きても、前線に投入されるのは日本の自衛隊で、米軍は無傷でいられるということになれば、アメリカの戦争屋たちにとってはベストシナリオということになります。

すべて国民に回ってくる岸田を野放しにしたツケ

これまで米国からさんざん台湾有事を煽られて防衛費増強に舵を切り、米国製兵器の浪費的爆買いを約束したり、急速にNATOに歩み寄ってウクライナ支援に過度な積極姿勢を約束したりしている日本政府は、まさに米国にいいように操られているだけ、なのではないでしょうか。

「防衛財源確保法」などもあっさりと国会を通過してしまいましたが、日本が米国に乗せられて軍拡路線を歩むということは、憲法違反であるだけでなく、既に五公五民などと言われる中、さらなる増税や社会保険料アップなど、これから国民生活はますます苦しくなるということでもあります。

対米追従一辺倒で、何の主体性もない防衛や外交を野放しにしていると、そのつけはすべて国民に回ってくるのです。

※本記事は有料メルマガ『『グーグル日本法人元社長 辻野晃一郎のアタマの中』~時代の本質を知る力を身につけよう~』2023年6月30日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はこの機会にご登録の上、6月分のバックナンバーをお求め下さい。

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image by: 首相官邸

辻野晃一郎この著者の記事一覧

辻野 晃一郎(つじの・こういちろう):福岡県生まれ新潟県育ち。84年に慶応義塾大学大学院工学研究科を修了しソニーに入社。88年にカリフォルニア工科大学大学院電気工学科を修了。VAIO、デジタルTV、ホームビデオ、パーソナルオーディオ等の事業責任者やカンパニープレジデントを歴任した後、2006年3月にソニーを退社。翌年、グーグルに入社し、グーグル日本法人代表取締役社長を務める。2010年4月にグーグルを退社しアレックス株式会社を創業。現在、同社代表取締役社長。また、2022年6月よりSMBC日興証券社外取締役。

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【著者】 辻野晃一郎 【月額】 ¥880/月(税込) 【発行周期】 毎週 金曜日 発行

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