「凶悪犯罪」が頻発する闇。いま日本の精神病院で何が起きているのか?

 

人間扱いされない「精神疾患の入院患者」!

精神病棟の入院患者の多くは、家族から遠く離れた閉鎖空間の劣悪な環境に置かれ、あるいは、家族から厄介払いで「姥捨て山」扱いされて、見捨てられた患者も少なくない状況です。

そのため、こうした精神病棟では、日常的にこうした暴行などが繰り返されている実態が浮かび上がってくるのです。

また、患者は精神疾患だけでなく、同時に認知症、腎臓を患い人工透析を受ける人も多く、ほとんど病院に身柄拘束されている状態のため、自ら外部に被害通報するのは難しい状況にあるのです。

頼るべき身内や家族もいない──などのケースでは、精神疾患の患者の声は「幻覚や幻聴、妄想による妄言扱い」とされてしまうため、救いを求められないケースも多々見受けられるのです。

「治療・保護・隔離収容」という名目で「長期入院」させれば儲かる!

厚労省のデータでは、精神疾患で入院する患者の平均在院日数は、日本では9カ月ですが、先進国では1カ月以内というのが常態となっています。

それどころか、日本の大手の精神病院では、1年以上の入院患者が6割(17万人)を占め、5年以上の入院患者も3割(9万人)を占めています。

中には、20年以上とか、40年以上というケースもあるので、驚かされます。これではまるで終身刑です。

日本の精神疾患の治療形態は、戦前から行われてきた「隔離収容生活」という方法論が、ずっと今でも主流を占めているといって過言ではないのです。

欧米先進国では、地域生活重視の治療が、現在の主流です。

幻覚や幻聴、妄想が起こる統合失調症の患者の場合であっても、デポ剤(薬効に持続性がある筋肉注射で、薬剤によっては1週間から1か月の薬効がある)を打つことで、入院しなくても地域の障害者グループホームで生活し、企業の障害者雇用枠などによる軽作業に就き、収入を得ながら生活することが多く行われているのです。

しかし、日本では、伝統的に、幻覚・妄想などのある統合失調症患者などは、とにかく隔離収容してしまえ―─という考え方が一般人の本音としても多いのです。

精神病の患者に近づくのはとにかく危険で怖い──といった社会全体でいたずらに警戒する風潮がとても強い──ともいえる状況なのです。

精神病院で「カネ儲け」するには、病床数を大量に増やす!日本の精神病院のベッド数がダントツ世界一になる理由!

日本の精神病院の経営は「薄利多売」のビジネスモデルといわれています。

入院の保険点数が、一般病床の場合の45%程度しかないため、出来るだけ病床数を多くとり、長年月にわたって患者数を満床状態で留めておけば儲かるからです。

200床以上あれば、精神病院の営業利益率は、5%台に載るともいわれているのです。

病床数を増やせば、そのぶん利益率がどんどん上がります。

そのうえ入院患者数のおよそ半分は、「強制入院」が占めるとされているため、金儲け主義の精神病院は、長期にわたる「薬漬け」での患者の「囲い込み隔離」に執着するのでしょう。

これでは、患者は退院したくても、自らの意思だけでは、到底退院させてもらえないのです。

一般病床における医師数や看護師数の規定も、精神病床ではかなり少ない基準で許されます(医師数は一般病床の3分の1、看護師、准看護師は一般病床の3分の2でよいという「精神科特例」がある)。

それでも、実際はスタッフ数が基準未満なのに、水増し医療スタッフを偽装しての診療報酬の不正請求もあとを絶たないのです。

モラルなき医療関係者の跋扈がまかり通っているのが精神医療の実態なのです。

また、向精神薬の効能効果の向上もあって、患者を暴れさせることなく、薬漬けにして病床に留まらせやすくなっているため、人里離れた土地の安い地域に大きな病床数の病院をつくってしまえば、手間もかからず病院経営も楽になる──ということにもなるわけです。

そして、日本の精神病院の8~9割が、公立ではなく民間経営なのも、営利に走らせる原因とも指摘されています。先進諸国の多くは、精神病院は公立が主流だからです。

こうして、日本の精神病棟のベッド数は、ダントツの世界最多となったのです。

この記事の著者・神樹兵輔さんのメルマガ

初月無料で読む

print
いま読まれてます

  • 「凶悪犯罪」が頻発する闇。いま日本の精神病院で何が起きているのか?
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け