接客業をするうえでマナーは重要。しかし、柔軟性を持たせないとお客様が引いてしまうことも多々あります。無料メルマガ『販売力向上講座メールマガジン』の著者で接客販売コンサルタント&トレーナーの坂本りゅういちさんは、接客をするうえでのマナーの根幹について語っています。
マナーは何のために
接客業についているとよく耳にする接客マナー。
これについては実にいろんな意見があります。
例えば言葉遣いについてです。
「正しい敬語を使いましょう」ということが接客業界ではよく言われますし、そのための指導もあります。
しかし実際の店頭ではどうかというと、お客様はそこまで折り目正しい敬語を望んでいないという場合も少なくはありませんよね。
年代の若い方がお客様だったりすると、あまりに正しい敬語は相手を引かせてしまうものです。
逆に僕が昔働いていた日本橋三越では、ここはすごく厳しく見られることも多く、僕自身「はいはい」と返事をしたらお客様にものすごく叱られた、という経験もあります。
正直、マナーに関してはあまりにもいろんな意見がありすぎるので専門外の僕が取り上げるのも結構難しい要素だなとは思っています。
ただ僕の考えとして皆さんに共有しておきたいのは、マナーの根幹は「相手を尊重する」という点にあるということです。
これを念頭においておくと、マナーへの見方がかなり変わります。
先述した言葉遣いに関して言えば、「折り目正しい敬語が使えること」が必ずしもマナー通りとは言えません。
「折り目正しい敬語が使えるかどうか」はあくまでも自分自身の問題であり、それによって相手であるお客様が尊重されるかどうかはまた別の話だと考えられるからです。
お客様があまりにシビアな敬語を望んでいないということであれば、そこで正しい敬語を使いすぎるのはマナー違反になるという考えですね。
だとするならば、カジュアルな言葉遣いをあえて選択することの方が、僕はよっぽどマナーに則ったやり方だと思っています。
一方でやはり折り目正しい言葉で接して欲しいお客様もいて、そういう方にはその通りの言葉で接する。
これもまた相手を尊重しているからこそ選択できることなわけです。
そうなると、本当にマナーを極めるならやはりどんな選択でもできる人こそがマナーのスペシャリストだと言えるのではないでしょうか。
そのためには、(言葉遣いで言うなら)それぞれの言葉遣いを理解しておき、選択できる素養が必要となります。
「これが正しい」という観点は、確かにどんなモノにも存在します。
しかし自分が正しいことをしているからそれが正解という考え方に、マナーの根幹である「相手への尊重」は存在していません。
常に相手がどう感じるかを考え続け、最良の選択ができてこそプロのマナーを扱える人だと言えるはず。
僕もそう考えるようになってから、普段自分が接しないような言葉や所作を学ぶことが増えました。
皆さん自身はどう考えるでしょうか?
今日の質問&トレーニングです。
1.自店に普段来店されるお客様と20歳以上年齢が離れているお客様を想像してみましょう(上でも下でも)
2.そのお客様が求める言葉遣いや所作はどんなものだと考えられますか?
3.自分自身はそのお客様が求める物を提供できるでしょうか?もしできないとしたら、どんな学びが必要ですか?
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