日本維新の会という政党最大のミステリー
西氏が所有する保育園の土地は、亡くなったらドレミ福祉会に寄贈するという一筆を3年ほど前、「自筆証書遺言」の形で書いてもらっているという。その馬場氏は今やドレミ福祉会の理事長におさまっている。“乗っ取り”疑惑を晴らすためにも、きちんと説明するべきではないのだろうか。
今のところ、この件についての報道は週刊文春にとどまっている。だからといって、放っておいていいとは思えない。
維新という政党の最大のミステリーは、派手な“花形役者”だった橋下徹氏が早々に去り、渋味のある“助演俳優”の松井一郎氏も今年になって引退、橋下氏に代わる“看板”として人気を博してきた吉村氏には代表になる気などさらさらなく、結果として、“脇役”に過ぎなかった馬場氏が代表となって「総理大臣をめざす」と言わざるを得なくなっている現状である。
馬場氏は高校を卒業し、ファミリーレストランの厨房で働いた後、政治家秘書、19年にわたる堺市議を経て、衆議院議員4期目だ。地方議員の経験が長いという共通点のある菅義偉元首相を敬愛し、自らを“8番キャッチャー”“縁の下の力持ち”などと称してきた。
柔らかな大阪弁で、「イシューごとに是々非々」と唱える馬場氏の庶民的雰囲気は、維新の重視する「市民感覚」にマッチする面があるかもしれない。しかし、これまで自民党の補完勢力とか別動隊とか言われてきたことを自ら裏打ちするかのような「第2自民党」発言は、幾分の誤解が入り混じっているとしても、自民党の利権政治を嫌う人々を落胆させたのは間違いない。
そのうえ、今回の文春砲によって、他人の財産を思い通りにしている疑惑を突きつけられてしまった。自民党が続けてきた守旧的な大阪府市政を糾弾し、行政や議会の無駄を省いて、庶民の味方のイメージをふりまいてきた党の代表だけに、その反動の強さも想像できる。
馬場氏がどのような政治的言動をしようと自由だが、自らの身辺をきれいに整えないままでは、説得力を持たない。「第2自民党」というネガティブな響きがまとわりついてくるだけではないだろうか。
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