「どうにかしてやれよ」木原誠二事件の幕を引いた“官邸の守護神”の名前

 

東京地検、警視庁刑事部も受理していない木原氏の告訴状

警視庁の重松刑事部長室における7月26日の密談で、幹部たちが「事件性がない」ことにするために苦心惨憺した様子が文春の記事に描かれている。

夜遅くまで続いた“三者会談”では、國府田一課長が「自殺と考えて矛盾はない」とするロジックを披露。捜査一課長を歴任した井ノ口参事官は後輩の意見に耳を傾けていたが、やがてこう口にする。

 

「自殺とする根拠がない。さすがにマズいだろう」

 

だが、最後は重松部長がその場を取り成した。こうしたお粗末すぎる三者会談の結果、警察は木原事件の重い扉を閉じることを決めたのだ。

根拠がないのに、政治的判断で、自殺とする無理なロジックを通してしまったということなのだろう。この決定を受けて、W警部が安田さんの遺族に無理筋の説明をしたようだが、現場の捜査員にしてみれば、やりきれない話にちがいない。上司の命令とはいえ、W警部自身もつらかったのではないか。

木原氏は文春報道を「事実無根」と主張し、刑事告訴したと言う。それに対し文春は記事のなかで、東京地検、警視庁刑事部のいずれも告訴状を受理していないとする司法担当記者や警視庁幹部の声を掲載している。

木原氏が刑事告訴をしたのであれば、どの捜査機関に告訴状を出したのか、今すぐ公表するべきであろう。刑事告訴をし捜査機関がそれを受理すれば、真相解明のために再捜査せざるを得なくなるはずだ。ぜひともそうなってほしい。

時の政権の利をはかるため秘密裏に警察の捜査をゆがめたとすれば、民主主義国家として失格である。まずは警察庁出身者を官房副長官に充てるという定番人事から見直さなければならない。

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image by: 首相官邸

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