1960年代から報じられていたジャニー喜多川氏の性加害
ジャニーズ事務所 創業者の家系図
喜多川諦道氏(故人)
→長女
メリー藤島氏(故人)-作家藤島泰輔氏(故人)
→藤島ジュリー景子社長(娘)
長男
喜多川真一氏(故人)NASA勤務
次男
ジャニー喜多川氏(故人)(*3)
ジャニーズ性加害の主な経緯
■1965~67年
「初代ジャニーズ」メンバーも所属した芸能学校での、ジャニー喜多川氏による少年へのわいせつ行為を、一部週刊誌が報道
■1988年
フォーリーブスのメンバーだった北公次さんが、著書で喜多川氏の性行為強要に言及
■1999年
週刊文春が喜多川氏によるジャニーズ事務所所属の少年へのわいせつ行為などを報じる
■2003年
週刊文春の記事をめぐり、事務所などが起こした訴訟で、東京高裁がセクハラ行為の真実性を認める。翌年確定
■2019年
喜多川氏が死去
■2023年
3月
英BBCが喜多川氏の性加害を報道。以降、元所属タレントらの告発が相次ぐ
5月
事務所の藤島ジュリー景子社長が動画と文書で謝罪
8月4日
国連人権理事会「ビジネスと人権」作業部会はが、日本政府に被害者救済を要請
8月29日
事務所が設置した再発防止特別チームが調査結果と提言を発表(*4)
「再発防止特別チーム」調査報告書の骨子
- ジャニーズ事務所のジャニー喜多川前社長は多数のジャニーズJr.に対し、長期間にわたって性加害を繰り返した
- 姉の藤島メリー泰子氏が性加害を知りながら徹底的な隠蔽を図り、事務所も見て見ぬふりをして被害拡大を招いた
- 性加害問題をマスメディアが取り上げてこなかったことで事務所は隠蔽体質を強め、被害が拡大した
- 同族経営の弊害を防ぐため、藤島ジュリー景子氏は辞任すべきだ
- 事務所は性加害を事実と認め、被害者への真摯な謝罪と救済に乗り出すとともに、適正な補償をするために「被害者救済制度」を構築すべきだ(*5)
確実に存在していたジャニーズ事務所からの圧力
再発防止特別チームは、「マスメディアの沈黙」という言葉を使い、マスメディアが性加害を知りながら、メディアが正面から報道しなかったと指弾する。
会見の翌日、ジャニーズのタレントを長年取材してきた日刊スポーツの記者がコラムを書いている。
報告書では「メディアの沈黙」も指摘された。世間でイメージされるような「圧力」を認識したことはないが、記事の性質上、日々の取材ではタレントの生の声、素顔を読者に伝えることに終始して、「密室」での出来事に思いが至らなかったというのが正直なところだ。「気付き」がなく、幾度かのタイミングを失した点で、改めて襟を正す必要を感じている。
「圧力はなかった」とする日刊スポーツ。しかし同紙は、2年前にメリー氏が死去した際、メリー氏が日刊スポーツに乗り込んできたことを伝えている。
それは「日刊スポーツ・ドラマグランプリ」が初めて開催された翌年の1998年のこと。第1回は記者と評論家の「審査員票」と「読者投票」で各賞を決め、票の比重は半々だった。メリー氏はこの審査方法に抗議したという。
元ジャニーズ担当記者がこう綴っている。
「応対した私に『あなた、全部のドラマ見ているの?』と聞いてきた。私は『見られる限りは、録画してでも…』としどろもどろに答えた。『見られないのに(記者や評論家が)審査するのはおかしいですね』とズバッと指摘された。そして『やはり視聴者に任せるべきです』。言外に『そうしないとジャニーズのタレントは出さない』のニュアンスを感じたが、メリーさんは純粋にドラマグランプリのことを考えてくれていたと思う。第2回から読者投票だけに切り替え、今年の第25回の節目につながっている」
(日刊スポーツ・2021年8月18日付)
そもそも、文藝春秋に対する訴訟の東京地裁判決でも、週刊文春の記事において、
「原告事務所〔注:ジャニーズ事務所を指す〕は怖く、当局〔注:在京の民放テレビ局を指す。〕でも事務所にネガティブなことを扱うのはタブーである」「マスコミ対応を委ねられているメリー喜多川は、ドラマの共演者が気に入らないと、その放送局の社長に直接電話をかけ、外すよう要求することもあった」
とあった。
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