岸田のビジョンがまったく見えない内閣改造と党役員人事
それにしても、今回の内閣改造と党役員人事からは、政治に対する岸田首相のビジョンがまったく見えない。
入閣待機組を起用する派閥順送りや、派閥の規模に応じた人事バランスなど、とにもかくにも党内の反発を招かないよう気を配った布陣だから、新鮮味とか独自色などあろうはずがない。
今年6月に亡くなった青木幹雄氏が将来の「総理候補」として期待していた小渕優子氏を、青木氏とは早大弁論会以来の盟友である森喜朗元首相の要請で党四役の一角、選挙対策委員長に起用するなど、人間関係優先の人事も目立った。
多くは木原氏が下描きし、岸田首相が決断した人事であろう。党本部と官邸、そしてエマニュエル米大使の間を自在に動きまわる“自画像”までも木原氏は描いているに違いない。
今年1月、ワシントンの大統領迎賓館で取材に応じる岸田首相の傍らで、ポケットに両手を突っ込み、“我が世の春”に浸っていた木原氏の姿が思い出される。文春砲を浴び、その立場が打ち砕かれたように見えたが、自作自演の退任劇によって、世間から姿の見えぬ新手の権力者として生き延びる可能性が出てきた。
警察捜査に公平性を求めるうえで、“疑惑”に対する木原氏の説明はどうしても必要である。そこから逃れることは、木原氏の自己都合であって、国民のためではない。木原氏の官邸脱出を許したことも、岸田首相の自己都合であって、国民のためとは思われない。この国の権力の堕落はどこまで進むのか。
この記事の著者・新恭さんのメルマガ
image by: 岸田文雄 - Home | Facebook









