世界で“銅の戦争”が勃発?需要急増で高騰する「価格」と加熱する「争奪戦」

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日本でもたびたび銅線の窃盗事件が報じられるなど、世界的に価格が高騰し続けている銅。なぜ銅の需要はここに来て急増しているのでしょうか。今回のメルマガ『ジャーナリスト伊東 森の新しい社会をデザインするニュースレター(有料版)』では著者の伊東さんが、その背景をさまざまな資料を示しつつ解説。各国が繰り広げる争奪戦の現状や、「乱掘」がもたらす弊害等についても詳しく紹介しています。

プロフィール伊東 森いとうしん
ジャーナリスト。物書き歴11年。精神疾患歴23年。「新しい社会をデザインする」をテーマに情報発信。1984年1月28日生まれ。幼少期を福岡県三潴郡大木町で過ごす。小学校時代から、福岡県大川市に居住。高校時代から、福岡市へ転居。高校時代から、うつ病を発症。うつ病のなか、高校、予備校を経て東洋大学社会学部社会学科へ2006年に入学。2010年卒業。その後、病気療養をしつつ、様々なWEB記事を執筆。大学時代の専攻は、メディア学、スポーツ社会学。2021年より、ジャーナリストとして本格的に活動。

「銅」争奪戦再び 一体なぜ? 銅山開発 環境破壊の負の歴史も 「資源の呪い」

近年、銅の需要が急増している。脱炭素社会のへの実現に向け、各国が普及を進める再生可能エネルギーや電気自動車などの技術に、銅は使われているためだ。

銅は、電気を通しやすく、さびにくく丈夫で、加工やしやすいのも要因に。それだけでなく、そもそもスマートフォンやパソコンなどに用いられる基盤には、銅が使用されてきた。

アメリカ・ワシントンに拠点を置く国際銅協会によると、現在、世界で使用されている銅は毎年、2,500万トンほど。それが、2050年には5,000万トンほど必要になるという。

さらに脱炭素に向けた需要を合わせると、計5,700万トン必要になってくるとも。

一方、市場調査会社S&Pグローバルの報告書によると、現在の銅の産出量のペースでは、2030年ごろから需要が追いつかないとも。

銅の価格も急騰している。980~2000年代前半までは1トンあたり1,500ドル~2,000ドル程度だったものが、中国の急速な経済発展と世界のIT化により、需要が急増。

さらに、そこに脱炭素社会に向けた需要も重なり、2020年以降は1トンあたり6,000~9,000ドルと、2倍~6倍にもなった。

「ここをもう一度掘るんだ。鉱山で働けばマクドナルドの給料の3倍になる。とてもうれしいね」(*1)

カナダ北部にあるケベック州シブーガモで銅を採掘するスタートアップ企業「ドレ・カッパー・マイン」の現地責任者は、鉱山一体を案内しながら、そう話した。

あたりは、地下をドリルで掘った跡が無数にあり、銅鉱石がいたるところに転がっている。

この場所は、約50年間、別の会社が銅を採掘していた場所だ。しかし2008年に閉山。だか、ドレ社は2017年に買い取り、再開発することなった。同社の社長は、

「カナダやアメリカでは、過去の銅山を再開発しようとするプロジェクトが他にもある」(*2)

と説明。同社は2026年に年間2万3,000トンの銅の生産を目指すといい、日本を含む世界中に輸出するという。

目次

  • 銅とは
  • 争奪戦、再び
  • 銅山開発 環境破壊の負の歴史も 「資源の呪い」再び

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