劣化した自称保守が集まった「コミック政党」状態
小坂は、発災から50日ほど経過した1923年10月22日付の「東京時事新報」(現・産経新聞)の記事を掲載。
「李王源という人物が、飲用の水道栓の近くを徘徊していたところ、群衆に捕まえられ、持っていた毒物を無理やり飲まされて死亡した」という内容だ。
この記事は、当時の司法省の発表をもとにして書かれたもので、小坂は「司法省が発表したのだから正しい」と強弁しているのだが、その後の検証で、井戸に毒を入れた事実はおろか、凶悪事件で起訴された朝鮮人は一人もいなかったことが判明しており、司法省の発表そのものが間違っていたことが確定している(1925年7月に警視庁発行『大正大震火災誌』参照)。
関東大震災の前後にわざわざこんな投稿をする目的は、「防災の日に乗じて朝鮮人ヘイトをしたい」という差別心にほかならない。それが現職の区議会議員なのだから、荒川区の住民には広く知らせたほうがよいと思う。
「朝鮮人が井戸に毒を投げ込んだ」というデマは、2016年の熊本地震の際にもSNS上で発生して問題になった。
明らかに差別を目的とした書き込みだが、小坂のようなヘイトスピーカーに感化された人間が……いや、小坂がやっていたのでは?と疑いたくなる。
とにかく「ろくでもない」をさらに下回る、最低の人間と言っていいと思う。
日本保守党は、ネトウヨ党員を集めるためなら、朝鮮人ヘイトでも、障害者差別でもなんでもござれという凄まじい状態である。
LGBT法を契機に動き出したところから、「もうポリコレにはうんざり!」「もう既存の大政党にはうんざり!」というような反動や幻滅が炸裂したように見えるが、その炸裂の仕方がとにかく支離滅裂だ。
安倍晋三という自称保守の「扇のかなめ」が外れて、劣化した人々がてんでんばらばらになり、その中から、集められるだけ集めて組み立てたら、漫画に出てくるフランケンシュタインみたいなコミック政党になってしまった……というところか?
その後、日本保守党は、名古屋、東京、大阪などで街頭演説を開催。いずれもネットで知って集まった群衆に囲まれて大満足、といった様子である。
引き続き、観察していきたい。
(『小林よしのりライジング』2023年10月24日号より一部抜粋・文中敬称略)
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