経営者ならば経営を学ぶ必要がある。それは当然のことですが、効果的な経営の勉強方法はないでしょうか。無料メルマガ『がんばれスポーツショップ。業績向上、100のツボ!』の著者で経営コンサルタントの梅本泰則さんは、中小企業診断士試験の勉強をすることがその近道となる、という提案をしています。その理由とは?
経営について勉強する
1.経営を体系的に学ぶ
中小企業の経営者には、戦略を立てる能力や、問題を解決する能力が必要です。何もしなければ、経営力が衰えていきます。
大企業は、経営者だけでなく、周りのスタッフが戦略や解決策を考えてくれますから、安心です。ところが、中小企業はそうはいきません。経営者の能力次第です。
ですから、中小企業の経営者は、「経営」を学ぶ必要があります。もちろん、現場での実行そのものが、経営の勉強です。とはいえ、それだけでは体系的に経営を学ぶことはできません。何かいい方法はないでしょうか。
そこで、中小企業診断士試験の勉強をされてはいかがでしょう。この資格を取得するには、それこそ中小企業の経営についての体系的な知識が必要です。ここでは、次のような科目を学ぶことになります。
・企業経営理論
・経済学
・生産管理
・販売管理
・経営情報システム
・経営法務
・財務・会計
・中小企業政策
いかがでしょうか。
これらが経営全般に必要な知識です。
それぞれの科目について、もう少し詳しく学ぶ内容を紹介します。
2.中小企業診断士試験の科目
「企業経営理論」は、全体の中心的な科目です。経営戦略、マーケティング、組織論が主要内容となっています。
AWOT、PDCA、4P戦略、5フォース、PM理論など、お馴染みのテーマでいっぱいです。
「経済学」は、大学で勉強するような内容になっています。
経済の動きを知るには、必要な知識です。
マクロ経済、ミクロ経済の勉強が中心になります。
「生産管理」では、製品の生産計画、品質管理など、生産に必要な内容が学べます。
製造業に携わる人には基礎的な知識ですが、そうでない方には結構難しい内容です。
「販売管理」は、店舗施設や商品仕入、販売、それに物流管理などを学びます。
流通に関わる人には、難しくありません。
「経営法務」は、会社法と知的財産権が中心です。法律は細かい規定がありますが、知っておいて損はありません。
「財務・会計」では、財務諸表をもとに経営分析をし、管理会計の方法も学びます。
投資計算や企業価値といった、高度な内容もテーマです。
経営者は、避けて通れません。
「経営情報システム」は、データベース、ネットワーク、セキュリティなど、ITの基本を学びます。
ソフトウエアの開発法、経過情報管理もテーマです。
IT企業に勤める人には簡単ですが、縁のない人には苦しい勉強になるでしょう。
最後に「中小企業政策」です。
中小企業白書の内容や、補助金などの中小企業政策を学びます。
これも、知っておいて損はありません。
こうしてみると、経営者として学ばなければならないことが、いかに多いかが分かるでしょう。
それでも、頑張って勉強をすれば、経営に必要な知識が身につきます。
3.フレームワークを学ぶ
ただし、こうした知識を持っていたとしても、それで経営課題が解決する、という事にはなりません。そこで、そのための勉強も必要です。
それが、フレームワーク(分析ツール、思考法)。
問題を整理したり、解決策を考えるのに役に立つツールです。
これらは、主に「企業経営理論」で学びますが、具体的な活用法までは教えてくれません。
以下に、代表的なフレームワークと、簡単な説明をします。
●PEST分析
企業の外部環境を、政治的変化(Politics)、経済的変化(Economics)、社会変化(Society)、技術変化(Technology)に分けて分析し、対応策を考えるためのフレームワークです。
●3C
自社(Company)、競合(Competior)、顧客(Customer)に分けて考え、自社の強み、競合他社との違い、顧客ニーズを明確にし、戦略を立てる手法です。
●SWOT分析
自社にとってのビジネス機会と脅威を明確にし、自社の強みを活かす方法や、自社の弱みを除く戦略を考えるためのフレームワークです。
●ポジショニング
市場での独自の位置や、他社と差別化できる位置を見つけるためのツールです。
●PPM
企業のかかえる事業や製品を、市場成長率と相対的マーケットシェアとを軸にし、花形、金のなる木、問題児、負け犬に分類し、どの事業や製品に投資をするのかを考えるためのフレームワークです。
●ファイブフォース
新規事業を考える時に使うフレームワーク。新規参入障壁、買い手、売り手、代替品、業界内の競合という、5つの力を検討し、新規事業の可能性を考えます。
●バリューチェーン
製品やサービスを市場に届けるまでの流れ、研究→開発→調達→生産→流通→販売→アフターサービスにおいて、競合他社に足りない点や優位性を分析します。
●マッキンゼーの7S
自社の戦略、組織構造、システム、企業価値、能力、人材、企業文化という、7つの経営資源から、組織運営を考えます。
いかがでしょうか。
フレームワークは、まだまだあります。STP、PLC、4P、アンゾフのマトリクス、VRIOなど。
フレームワークに関する書物もありますので、研究してください。
いずれにしても、経営の体系を学びつつ、経営課題の解決法も身につけましょう。
■今日のツボ■
・経営の知識を体系的に学ぶことで、経営力が上がる。
・中小企業診断士試験の勉強をすれば、経営の体系が分かる。
・経営課題を解決するためのフレームワークも学ぶと良い。
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