運動経験のなかったシングルマザーが、ボクシング世界タイトルの舞台へ─。そんな、まるでフィクションのような話が実現しています。今回のメルマガ『致知出版社の「人間力メルマガ」』では、女子プロボクサー葉月さなさんのインタビューを紹介しています。
ボクシング世界タイトルの舞台へ駆けあがったシングルマザーの感動実話
運動経験のなかったシングルマザーが、30歳でボクシングのプロデビュー。7年の苦闘を経て世界タイトルの舞台へ駆け上がった。
恵まれぬ家庭境遇、愛する家族との別れ、そして人生を変えたボクシングとの出逢い。どんな強敵にも臆することなくリングへ上がり続ける葉月さなさんが、我が子に、そして亡き弟に伝えたい思いとは──。
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(──スポーツ経験もなかった葉月さんが、なぜボクシングを。)
(葉月)
最初は、勤めていた会社の上司がボクシング経験者だったので、そこの車庫を借りて、当時小学4年生だった息子と一緒に運動代わりにやっていたんです。
その頃、オリンピックで金メダルを取った村田諒太選手がプロボクシングに転向して、高額な契約金を得たという話がニュースになっていました。
それを見た息子が、「俺もオリンピックで金メダルを取って稼ぐよ」と言い出したので、本気でやるならジムを探してみようということになったんです。
そうした中で、地元福岡に黒木優子選手というユース世界チャンピオンがいることを知りました。
こんな身近な場所に、世界で活躍する女の子がいることにすごく勇気をもらって、もし自分も世界の舞台に立つことができたら、私をボクシングに導いてくれた弟も喜んでくれるんじゃないかと思ったんです。
(──弟さんがボクシングへ導いてくれた。)
(葉月)
息子とボクシングを始めたのは、実は弟が自殺を図って病院へ収容されていた時期でした。じっとしていたらおかしくなりそうで、何でもいいから夢中で体を動かして、心のモヤモヤを払拭したかったんです。
弟は「どうせ俺なんか」といつも自分を卑下していました。でも、私はその弟がきっかけでボクシングに出逢った。そのボクシングで世界の舞台に上がり、拍手喝かっ采さいを浴びることができたら、弟にも価値が出るんじゃないか。そんな想像をしてしまったんです。
だから息子に、「あんたが金メダルを取るなら、私は……(『致知出版社の「人間力メルマガ」』2023年11月2日号より一部抜粋)
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