分析して見えてきた参政党と日本保守党との相違点
ところで、日本保守党ができてから、ずっと疑問に思っていたことがある。
これ、参政党となにが違うの?
どちらも「日本古来の伝統と文化」「国体護持」という言葉を強く打ち出しており、「神武天皇以来、男系で継承されてきた万世一系の皇統を守る」というフレーズが大好きで、「旧宮家の皇籍復帰」「宮家と旧宮家の養子縁組」を主張。
参政党の神谷は「側室制度の復活」を、保守党の百田は「Y染色体の理科」を発信している。
どちらも「自主防衛」を目指し、「自虐史観からの脱却」を主張。
さらにどちらも「消費税減税」で、その上「LGBT法に反対」「スパイ防止法の制定推進」だ。
ぜんぶ同じ!
特徴的な違いを挙げるとすれば……
参政党は、ディープステート(あの勢力)と対抗したい党。
保守党は、名古屋城の天守閣を木造にしたい党。
といったところか?
表紙デザインも判型も内容もほとんど変わらない雑誌だが、よーーーく見ると陰謀論が大好きな「WiLL」、ターゲットは狭くてもお祭り騒ぎで売れるなら何でもアリの「Hanada」という微妙な違いに似ている。
参政党は、表向きには「グローバリズム全体主義への対抗」という言葉を使い、国際的な協調は必要だが、グローバリズムについては批判するという保守的なスタンスを見せている。
が、そのスタート地点はコロナと反ワクチンで、コロナ禍で本格的にSNSの世界にのめり込んで「マスコミが報じない都合の悪い真実」の数々に衝撃を受けた、とてもピュアでイノセント(※)な人々が集まり、「世界を1つのルールで統一しようと考える勢力がいる」「パンデミックは計画的に起こされたもの」「その後のワクチン強制の仕組みまで、ユダヤ系の国際金融資本を中心とする『あの勢力』が、人類を統制するために仕組んでいた」などの陰謀論に震撼している状態だ。
(※)イノセント【innocent】:潔白な,汚れのない,無邪気な,単純な,無知な
マスコミが全体主義を作り出すことに加担したのは確かだが、SNSを通じて手元に届いた情報は、アメリカでかつて猛威を振るったトランプ支持者による陰謀論の焼き増しでしかなく、結局のところ、アメリカのITグローバル企業によって整備されたネット・インフラの上を漂流し、右往左往させられているようにしか見えない。
参政党支持者からは、よく「ワクチンを打っているのは日本人だけ」という言葉が飛び出すが、それなら「なぜ日本人だけなのか?」「強制されてもいないのに素直に従う性質とは?」「そもそも日本人とはなんなのか?」など、日本固有の問題として内側から考えるべきことがたくさんあると思う。
日本人について考察し、知ろうとする目線を持たずに、輸入モノの陰謀論を頭にかぶって盛り上がりながら、「歴史につむがれた日本の国柄」とか「神話から続く日本古来の文化」とか通り一遍の保守的な言葉で着飾っていくインスタントな流され方が、私のなかでは「いかにもネット政党だね」という偏見を強めている。
日本保守党のほうも、安倍の遺した政策や負の仕組みをいちいち批判してみせながら、「安倍さんが生きていればこんなことにはならなかった」と嘆くという意味不明の支離滅裂ぶりを発揮して「安倍なき自民党への対抗」に乗り出したのだから、「やっぱりネットってバカの巣窟なんだね」という偏見を猛烈に強めさせている。
「これって安倍のやったことだよね」「あの時、安倍の発言を素直に礼賛した自分たちとは?」「そもそも何を支持していたのか?」など、アンチに走った理由を考えたほうがよいと思う。
ふたを開ければ、在日ヘイトやトランスジェンダー差別でいっぱいで、男系の血統、男尊女卑の風潮がもっと強かった明治の頃が大好きなんだとわめいている。
結局、「ボクらが気に入った『安倍晋三』というイメージ」だけを信仰してきた、「人の支配」を求めてマウントをとりたがる、劣等感の塊のような人々の集まりなのかもしれない。
とにかくディープステートに支配される世界を恐れる子羊タイプの人は参政党。
とにかく他人にマウントをとりたいチンパンジータイプの人は日本保守党。
私なりに分析してみたが、どうだろう?
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