どちらも揃って支離滅裂。参政党と日本保守党の違いを冷静に分析した結果

Shinbashi,,Tokyo,,Japan,-,June,10,2022:,A,Crowd,Gathers
 

10月17日に「結党の集い」を開催し、華々しい船出を飾った日本保守党。一方、2020年に設立され、2年後の参院選で初の国政議席を獲得した参政党。失礼ながら両政党ともよく似ていると思わざるを得ない主張を掲げていますが、彼らの違いはどこにあるのでしょうか。今回のメルマガ『小林よしのりライジング』では、漫画家・小林よしのりさん主宰の「ゴー宣道場」参加者としても知られる作家の泉美木蘭さんが、「日本保守党ができてからずっと抱いていた」というそんな疑問を解消すべく、両者の相違点を徹底検証。さらに参政党を眺め直した過程で「勉強になったこと」を紹介しています。

どこが違うかよくわからない。参政党と日本保守党とネットの自称保守

「Hanada」は今月も張り切っている。

巻頭カラーは、5ページにわたって日本保守党結党パーティーの写真を掲載。参加した見城徹、村西とおる、山口敬之、門田隆将など自称保守界隈の有名人の様子が紹介されていた。

「私たち、日本保守党を熱烈応援します」という恒例の寄稿コーナーには、竹田恒泰、茂木健一郎、金美齢、高橋洋一などが登場。「やむにやまれぬ大和魂」「日本民族の誇り」などの言葉が散らばって、人を保守っぽく褒め称えたいときのお手本のような文章がたくさん並んでいた。この熱烈応援文集のなかに、竹田恒泰がこんなことを書いている。

安倍晋三元総理が存命であれば、自民党が皇位継承問題で適切に対処してくれると期待されたが、岸田総理にはその意欲が見られず…

安倍晋三が存命であっても、竹田の望むような「男系男子固執」に対処する意欲なんてなかったと思うが……。

安倍が首相に就任するなり、小泉内閣時代にまとめられた長子優先の皇位継承と女性宮家創設を認める提言を白紙撤回したのは事実だが、結局、その後の長期政権のあいだに、「皇籍復帰してもよいという旧宮家系の男系男子」に該当する人物を探し出すことはできず、時間ばかりが引き延ばされて、ますます皇室を危機的状況に追い込んだだけ!

「皇位継承問題で適切に対処」なんて、自称保守側の主張から見ても期待できなかったとなぜ理解できないのだろう。

自民党は「保守政党」と言われるが、それは事実ではない。女性・「女系」天皇を可能とする皇室典範改正を試みたのは、ほかならぬ自民党だった。自民党には幅広い思想の議員がいて、皇室を守る意識を持つ人は、むしろ全体的には少数派と見られる。

竹田の言う「皇室を守る意識を持つ人」というのは、男系男子に固執すべきだという発言を繰り返し声高に主張してきた青山繁晴や山谷えり子、長島昭久、柴山昌彦、西田正二のような議員のことだ。

それが「全体的には少数派」ということは、自分の主張は「国民のごく一部」でしかなく、以前のように「女性・女系の容認は国論を二分する!」と言って脅すことができなくなったということだろう。

もっとも、自民党含め大半の議員はそもそも皇統問題に興味がないし、あまり触れたがらないというだけだが。

竹田は、日本保守党には皇位継承議論をリードする存在になってほしいというようなことを書いているが、全体的には「アンチ自民」としての愚痴がメインで、最後は「安倍なき自民」を正しく導いてほしいという言葉で締めくくっている。

自民党を導く政党って、それは、どんな立ち位置のどれほどの勢力を想定しているのか、なんだか意味がよくわからないが、竹田自身、日本保守党がそれほどの力を持つとまではさすがに思っていないだろう。

もしかすると、男系男子固執は、現実的にも憲法解釈的にも苦しいのかもしれないと感じていて、「安倍さんが生きていたらうまくいったのに」という逃げ道を意識しはじめているのでは、という想像もめぐった。

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