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なぜ、独裁者プーチンを批判すると日本で執拗にバッシングされるのか?

ロシアを中心にさまざまな世界情勢を発信しているメルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』著者で国際関係ジャーナリストの北野幸伯さん。実は最近プーチン批判によってバッシングを受けているそうで、大変お悩みのようです。みなさんはこの風潮、どう思いますか?

日本で「プーチン批判」したらメチャクチャバッシングされて悩んでいる

実は、悩みがあります。

なんでしょうか?

「めちゃくちゃ批判されていること」です。

なぜ?

なぜだと思いますか?

時間がある人は、少し答えを考えてみてください。

いいですか?

答えは・・・。

プーチンを批判しているから(!)です。

日本でプーチンを批判したらメチャクチャバッシングされるとは・・・。

夢にも思いませんでした。

いったい日本で何が起こっているのでしょうか?

▼なぜプーチンを批判するのか?

実際、私はプーチンを批判しています。

二つの理由があります。

一つは、「善悪論」的理由。

もう一つは、「勝敗論」的理由です。

まず、善悪論から。

善悪論は、『ミステリと言う勿れ』の久能整君が言うように、「真実は人の数だけ」あります。

「ウクライナに侵略したロシアが悪い!」というのは、一般的な善悪論でしょう。

一方、プーチンに言わせると、「ロシアの警告を無視してNATOを拡大しつづけたアメリカが悪い」となります。

確かにロシアから見ると、31ヶ国の反ロシア軍事同盟の存在は脅威にうつるでしょう。

「善悪は人ぞれぞれ」
「善悪は立場によって異なる」

これは本当のことです。

それで私は、「善悪論は、国際法ベースで語りましょう」と言っています。

日本国で何かした人が善か悪か。

意見は人それぞれですが、最終決定をするのは法律、裁判所でしょう。

国際社会にも「国際法」があるので、それをベースに考えましょうと言っています。

国際法で、合法と認められる戦争は二つしかありません。

1、自衛戦争

例として、9.11後のアメリカによるアフガン攻撃があります。

さらに、つい最近の例として、ハマスの大規模攻撃に対するイスラエルの反撃も当然「合法」といえます。

「個別的自衛権の行使」です。

ただイスラエルの場合は、あまりにも反撃が激しく、民間人犠牲者がたくさん出ている。

それで、「人道的な観点」から批判されています。

さて、ウクライナは、ロシアに先制攻撃したでしょうか?

もちろんしていません。

2022年2月24日、ウクライナに侵攻したのはロシアです。

ですから、ウクライナ戦争は、国際法上違法になります。

国際法上合法とされる戦争。二つ目は、国連安保理が承認した戦争です。

たとえば、1991年の湾岸戦争(対イラク戦争)。

国連安保理は、ロシアのウクライナ戦争を承認していません。

というわけで、国際法に照らし合わせてみると、ロシアのウクライナ戦争は【 完全に違法 】。

別の言葉で、【 悪の戦争 】となります。

これに関しては、しっかり基準が定まっているので、誰も反論することはできません。

ちなみに、アメリカが2003年に開始したイラク戦争。

同じロジックで、「国際法違反の戦争」です。

過去本を読んでいただければわかりますが、私は、イラク戦争が国際法違反であることを、何度も書いています。

つまり、私はプーチンだけを批判しているのではなく、ブッシュネオコン政権も批判していました。

それは、「国際法から見て」批判しているのです。

次に「勝敗論」で見てみましょう。

私は2022年2月24日のウクライナ侵攻前、プーチンについて二つの話をしていました。

一つは、プーチンがウクライナ侵攻を決断する可能性がある。

もう一つは、プーチンがウクライナ侵攻を決断すれば、【 戦略的敗北 】は不可避である。

「戦略的敗北」とは、「ウクライナとの戦闘に勝てない」といった「戦術的意味」ではありません。

たとえば、ロシアは2014年3月、ウクライナからクリミアを鮮やかに奪いました。

これは、間違いなくロシアの【 戦術的大勝利 】です。

ですが、一方でこれは【 戦略的敗北 】でもありました。

というのは、制裁で、ロシア経済がまったく成長しなくなったからです。

プーチンの1期目2期目、ロシアのGDP成長率は、年平均7%でした。

それが、2014年のクリミア併合以降は、年平均1%程度まで下がりました。

これが【 戦略的敗北 】の意味です。

今回のウクライナ侵攻でも、同じことがより大規模に起こりました。

プーチンの戦略的敗北について、書き出せばキリがありません。

ここでは、少し例を挙げておきましょう。

まず、ロシアが中国の属国になったことが挙げられます。

どういうことでしょうか?

ウクライナ侵攻に恐怖した欧州は、ロシア産原油、天然ガス、石炭輸入を大幅に減らしました。

さらに、ロシアの主要銀行は、SWIFTから排除された。

困ったロシアは、中国に助けを求めました。

結果どうなったのでしょうか?

中国は、ロシア産原油、天然ガスを【 激安 】で、【 人民元 】で、中国版SWIFT【 CIPS 】を使って輸入するようになった。

これで、ロシアは完全に【 人民元圏 】に組み込まれてしまった。

プーチンは、習近平に逆らえなくなりました。

一つわかりやすい例があります。

今年5月、「中国中央アジアサミット」が中国西安で開催されました。

ここで習近平は、「【 中国中央アジア運命共同体 】を創る!」と宣言したのです。

『東京新聞』5月19日付。

中国の習近平国家主席は19日、陝西省西安で開かれている中央アジア5カ国との首脳会議で演説し、中央アジアと「より緊密な運命共同体を構築する」と強調した。

中央アジア5か国とは、トルクメニスタン、カザフスタン、ウズベキスタン、タジキスタン、キルギスのこと。

ところで、この5か国は、いずれも【 旧ソ連国 】。

プーチンは、【 旧ソ連の盟主 】を自任しています。

そして、旧ソ連圏である中央アジアは、【 ロシアの勢力圏 】であると、常々主張してきました。

ところが、「プーチンの親友」であるはずの習近平が、自分の手下であるはずの中央アジア5か国を、サクッと奪っていった。

なんといっても、中国と中央アジアは、【運命共同体】ですから。

この動きに対して、プーチン・ロシアは、どうすることもできませんでした。

なぜ?

ロシアが中国の属国に落ちたからです。

一つ例を挙げましたが、【 戦略的敗北 】の意味、ご理解いただけたでしょう。

私は、「善悪論」「勝敗論」の観点から、プーチンを批判しています。

そして、私は、常に「日本の真の国益」を考えて発言しています。

日本がプーチン・ロシアを支持する?????????

そうなれば、正直悪夢です。

2022年3月2日、国連総会で「ロシア非難決議案」が採択されました。

この決議案に反対した国、つまりロシア支持の国は、たった5か国しかありませんでした。

ロシア、ベラルーシ、北朝鮮、シリア、エリトリアです。

「プーチンロシアを支持しろ」と主張する人は、

日本を、国際的に孤立しまくっている独裁国家群の仲間入りさせようとしていることになります。

「まさに亡国の主張」と私は思います。

▼なぜ執拗に批判されるのか?

ちなみに、私が批判しているのはプーチンだけではありません。

岸田さんの増税路線を批判しています。

私は安倍元総理をとても尊敬しています。

しかし、消費税を二回上げたこと、習近平を国賓として招待したことなどは、批判しつづけてきました。

既述のようにブッシュ・ネオコン政権のイラク戦争について、「国際法違反の戦争だ」と書きつづけてきました。

ウイグル人100万人を強制収容している習近平に関しては、ずっと批判しつづけています。

しかし、これらの件で、私自身が執拗に批判されることはありませんでした。

なぜ独裁者プーチンを批判したときだけ、激しい長期のバッシングを受けるのでしょうか?

皆さん、どう思いますか?

少し考えてみてください。

答えは、米英情報ピラミッドの支配下にあった日本の言論空間に、別の勢力が侵入し、大いに成功をおさめているからです。

「別の勢力」とは?

知りたい方は、こちらの動画をごらんください。

早速ネガティブコメントばかりになっています。

動画を見て、「その通りだな」と思われた方、「いいね!」とポジティブなコメントを書いていただけるととても助かります。

日本の言論空間が「あの勢力」に支配されないためにも。

なにとぞよろしくお願いいたします。

image by: Shutterstock.com

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【著者】 北野幸伯 【発行周期】 不定期

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