今年の大晦日は目が離せなくなりそうです。約44年ぶりになるという「ジャニタレ無し」のNHK紅白歌合戦、そのニュースはネット上でも大きな話題になりました。芸能記者歴30年のベテランジャーナリスト・芋澤貞雄さんは、今年の紅白を「芸能事務所アミューズの音楽祭になる」と表現。その理由は、大泉洋、エレカシ、パフューム、福山雅治、星野源が出演するだけでは無いようです。
旧ジャニ祭りから『アミューズ音楽祭』へ…目玉はもちろんあのSAS!
『第74回NHK紅白歌合戦』、出場アーティストの発表がありました。
皆さんも“ジャニーズ無し!”という見出しを散々ご覧になったかと思います。
私なんかは逆に、ジャニーズが出ていない紅白もあったんだ…なんて思ってしまいましたが、実に44年ぶりにジャニーズ事務所…『SMILE-UP.』のアーティストがひとりも出ない紅白になりましたね。
関係者に話を聞くと「SMILE-UP.が出ないことが、昨年の視聴率より大幅に低くなったりしなければ、NHKとSMILE-UP.の関係は悪いままでしょう」と言っていました。
“SMILE-UP.所属アーティストが出なくても、紅白は十分にやっていける”のか“いけない”のか…その実証に答えが出るわけです。
私が芸能記者として初めて紅白を取材したのは今から37年前、第37回の紅白でした。
白組司会者は加山雄三で、トップバッターの少年隊を紹介します。
「張り切っていこうぜ! 初出場、少年隊の『仮面ライダー』です!」…若大将のこの言葉に、芸能記者たちがいたステージ袖の“溜まり”は呆然とする者、失笑する者、慌てふためく者…様々だったのを思い出します。
今でもあの現場にいたということは、少々の自慢にもなっているのです。
紅組の司会者は壮絶な私生活が話題の斉藤由貴で、彼女の独特な口をポカンと開けた表情で若大将を見ていた顔は今だに私の脳裏から消えません。
この年は本番2日前に、北島三郎と山本譲二が暴力団の新年会に招かれていたことが公になり出場を降板するというドタバタもあったりしました。
私が今でも鮮明に記憶しているのは、本番3日前、出場アーティストたちと司会者が顔合わせをする直前に、編集部デスクからNHK広報部長への挨拶を強く命じられたことでした。
初めての紅白で、右も左もわからない私は“取材のルール”がわからず困惑したことを憶えています。
この広報部長、芸能マスコミの間では“名物部長”として知られ、紅白の取材をする記者は事前の挨拶が各芸能媒体の間で義務付けられていたのです。
今もこんな慣習が続いているのかはわかりませんけれど…。
有名高級菓子を手土産に部長を訪ねると、真冬にもかかわらず扇子で顔に風を送っている部長がいました。
「おう、困ったことがあったら何でも言ってくれや…」と、内ポケットから名刺を渡されました。
そんな“ご挨拶”のおかげで、私は“仮面ライダー”の現場も舞台袖で見られたというわけです。
発表直後、後輩の芸能記者たちから今年の紅白のキャスティングについて聞かれました。
私の正直な感想は旧ジャニーズが排除され、今年は“アミューズ音楽祭”だと答えました。
ベテラン芸能記者が「今年はアミューズ音楽祭だ」と答えた本当の理由