なぜ、幕末の佐宗一斎が残した『言志四録』は現代でも“指導者のバイブル”になるのか?

 

3.学ぶ大切さ

3つ目の条の紹介です。

●人生には、貴賤あり。貧富あり。亦各その苦楽あり。

必ずしも富貴は楽しくして、貴賤は苦しと謂わず、

蓋(けだ)しその苦処より之を言わば、

何れか楽しからざる莫(な)からむ。

言葉の意味は、次のとおりです。

人の世には、身分や貧富の差がある。

そして、その中に苦労と楽しみがある。

だが、必ずしも金持ちや身分の高い者が楽しいわけでもなく、貧乏や身分が低いからといって、苦しいわけでもないでない。

何ごとも苦しいと思えば苦しいし、楽しいと思えば楽しい。

つまり、身分や貧富の差が妬みや恨みを引き起こし、事件や戦争につながってしまうことがあります。

要は、人や生き方、国のあり方の問題です。

紹介する4条目は「学び方」を述べています。

●太上は天を師とし、その次は人を師とし、

その次は経(けい)を師とす。

最も優れた人は天を師とし、次に優れた人は聖人を師とし、その次に優れた人は、書物を師とする。という意味です。

分かりやすい言葉ですね。

「天」とは、宇宙や自然のことを表しています。

人類は今、自然の法則に反した行いに懸命です。

師をないがしろにしてはいけませんね。

最後に紹介するのは、最も有名な条です。

●少にして学べば、則(すなわ)ち壮にして為すこと有り。

壮にして学べば、則ち老いて衰えず。

老いて学べば、則ち死して朽ちず。

意味は、少年のときに学んでおけば、壮年になってから役に立ち、何ごとかを為すことが出来る。

壮年のときに学んでおけば、老年になっても気力が衰えることはない。老年になっても学んでおけば、ますます見識も高くなり、社会に役立つことになり、死んでからもその名は残る、ということです。

生涯学ぶことの大切さを述べています。

以上、言志四録からの言葉でした。

20条くらいは紹介しようと思いましたが、とても紙幅が足りません。

時間があれば、あなたもこの書物を読んでみてください。

経営の参考にもなることでしょう。

■今日のツボ■

・佐藤一斎の「言志四録」は、人のあり方を示した書物である。

・欲の無い人間はいない。その欲を善いことに使って、社会に役立てることだ。

・身分や貧富の差も、苦しいと思えば苦しいし、楽しいと思えば楽しい。

image by: Shutterstock.com

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