世界どの国にもない日本の消費税のような乱暴で雑な税金
欧米の先進国では、片親の家庭が、現金給付、食費補助、住宅給付、健康保険給付、給食給付などを受けられる制度が普通にあります。また失業者のいる家庭には、失業扶助制度というものがあり、失業保険が切れた人や、失業保険に加入していなかった人の生活費を補助されるのです。
日本では失業保険は最大でも1年間程度しかもらえず、後は非常にハードルの高い「生活保護」しか社会保障はないのです。だから、日本では他の先進国に比べて経済理由による自殺が非常に多いのです。
しかも、これらの国々では、間接税の軽減税率も細やかな配慮があります。日本でも、今回2019年10月の増税からは、軽減税率が適用されていますが、軽減税率と言っても一部の商品が8%に据え置かれるだけですから、たった2%の軽減しかないのです。が、イギリス、フランス、ドイツでは、軽減税率が細かく設定され、食料品や生活必需品は極端に税率が低いなどの配慮がされています。
イギリスでは標準税率は20%ですが、燃料や電気などは5%、食料品、飲料水などは0%となっています。フランスでは標準税率は20%ですが、食料品などは5.5%、医療品などは0%となっています。ドイツでは標準税率は17%ですが、食料品などは7%になっているのです。
このように、間接税が高い国は、低所得者や零細事業者に手厚い配慮をしているのです。
しかも、こういう配慮は、先進国だけではありません。間接税を導入している国のほとんどで、されています。財政事情が非常に悪い国々でも、ある程度の配慮はされているのです。
世界でもっとも財政状況の悪いとされる国の消費税(付加価値税)を見てみましょう。まずはアルゼンチンです。アルゼンチンは、慢性的に財政が悪化しており、2020年にも政府が債務不履行に陥っています。アルゼンチン政府が政務不履行に陥ったのは、実に9度目であり、現在IMFの支援を受けて財政再建を行っています。財政は世界で最悪レベルと言っていいでしょう。
このアルゼンチンの付加価値税の基本税率は21%です。ですが、生鮮食料品はその半分の10.5%です。そして飲料水、書籍などは0%なのです。
次にスリランカを見てみましょう。スリランカも2022年に財政破綻をし、現在IMFの支援を受けています。スリランカの消費税(付加価値税)は、財政悪化の影響で、2022年9月に12%から15%に引き上げられました。が、スリランカでは、年間売上8,000万ルピー以下の中小企業には、付加価値税の納税が免除されています。8,000万ルピーというのは、日本円で約3,500万円です。この免税制度により、個人商店などのほとんどは消費税の納税を免除されているのです。
このように、世界でもっとも財政事情が悪い国でも、低所得者や零細事業者に配慮がなされているのです。日本の消費税のように、どんな商品にもほぼ一律の税率をかけ、どんな零細事業者にも納税義務を負わせるという乱暴で雑な税金は、世界のどこにもないのです。
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