イスラエルとハマスの衝突にあらず。ガザ紛争の裏で糸を引く大国

 

そして、このメルマガ配信から28日後の10月7日、中東で戦争が勃発したのです。

しかし起こった戦争は、「イスラエル 対 イラン」ではなく、「イスラエル 対 ハマス」でした。

ですが、実をいうと、「イスラエル 対 ハマス」と「イスラエル 対 イラン」は同じことなのです。というのも、ハマスによるイスラエル攻撃の黒幕はイランですから。

「朝日新聞DIGITAL」2023年10月9日付。

米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)は8日、イスラム組織ハマスがイスラエルにしかけた大規模な攻撃はイランの関係者が準備段階から協力し、最終的なゴーサインを出したと報じた。ハマスと、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの幹部の話として伝えた。

WSJによると、イラン革命防衛隊のメンバーは8月から、パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するハマスと、イスラエルに向けた陸海空の侵攻について協議した。レバノンの首都ベイルートで革命防衛隊やハマス、ヒズボラらのメンバーによる会議が重ねられ、攻撃の詳細が計画されたという。最終決定の会合は2日にあったとしている。

ですから、10月7日はじまったのは、「イスラエル 対 ハマス」の戦争であると同時に、「イスラエル 対 イラン」の戦争でもあるのです。

はじまっている「アメリカ 対 イラン」の戦争

問題は、イスラエルの同盟国アメリカの動きです。

アメリカとイスラエルは、「イランの核兵器保有を止める」ことで、利害が一致しています。一方、イランは、核兵器開発を完成させて、北朝鮮のように「誰からも攻撃されない体制」を築きたいのでしょう。

だから現状は、

  • アメリカとイスラエルは、イランの核兵器製造施設を破壊したい
  • イランは、核兵器を保有するまでの時間稼ぎとして、「親イラン勢力」に、アメリカ、イスラエルを足止めさせてほしい

「親イラン勢力」とは、具体的にどんな勢力なのでしょうか?

  • ハマス
  • レバノン・ヒズボラ
  • イエメン・フーシ派
  • カタイブ・ヒズボラ(イラク)

など。実際、ハマスとレバノン・ヒズボラは、イスラエルの動きを止めることに成功しています。

問題はアメリカ。

「親イラン勢力」(イランは、「抵抗の枢軸」と呼ぶ)は米軍も攻撃しています。しかも毎日。「CNN.co.jp」2023年11月25日付。

米政府当局者は25日までに、イラクやシリアに駐留する米主導連合軍の航空基地や拠点の4カ所に対し感謝祭の祝日に当たる23日に自爆型ドローン(無人機)や多連装ロケット弾を用いた攻撃がそれぞれ起きたと報告した。

 

イラクのアサド、エルビル両航空基地やシリアの拠点2カ所が23日朝から同日午後にかけて襲われたもので、一連の攻撃で施設の損壊はなかったとした。死傷者の報告もないという。エルビル基地には22日にもドローン1機による攻撃があった。

 

これでイラクやシリアに展開する米主導連合軍への攻撃は先月17日以降、少なくとも73回に達した。

10月17日から11月25日までに、米軍基地は【 73回 】攻撃された!

米軍は、反撃しないのでしょうか?もちろん、しています。

米軍も空爆で対抗しており、イラクでは現地時間の22日朝、イランが肩入れする武装勢力「カタイブ・ヒズボラ」が使用する2カ所の施設を標的にした。同勢力によると、この空爆で戦闘員の少なくとも8人が死亡、4人が負傷した。

 

中東を管轄する米中央軍によると、空爆は短距離用弾道ミサイルまで投入しているイランや同国が支援する勢力による攻撃への「直接的な対応」としている。

どうですか、これ?事実上、「アメリカ 対 イランの戦争がはじまっている」と言えるでしょう。

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