会社に入社したからには使えないと困るのがパソコン。とくにエクセルの操作に四苦八苦する新入社員の方も多かったのではないでしょうか。メルマガ『『ゼロ秒思考』赤羽雄二の「成長を加速する人生相談」』著者で、世界的なコンサルティング会社マッキンゼーで14年間もの勤務経験を持つ、ブレークスルーパートナーズ株式会社マネージングディレクターの赤羽雄二さんに、そんな「エクセルが苦手」という方から相談が届きました。赤羽さんの回答はどんなものだったのでしょうか。
エクセルでの収益計算が苦手です。どう考えたらもう少し前向きに取り組むことができるでしょうか。
Question
大手商社の新事業管理部に新卒入社で2年、いまだにエクセルでの収益計算が苦手です。基本的な仕組みはもちろん理解していますし、何とかかんとか作ることはできますが、苦手意識がなくなりません。仕事がら、エクセルでの収益計算はときどきあるので、そのたびに気が重いです。どう考えたらもう少し前向きに取り組み、苦手意識を払拭できるでしょうか。
赤羽さんからの回答
ご相談どうもありがとうございます。お気持ち大変よくわかります。
エクセルは単に便利な1ページの計算表です。縦には収入や支出の各項目が入ります。横には、月や年が入ります。それだけなので、恐れる必要は全くありません。
苦手意識がある場合、いくつかの点がひっかかっているかもしれませんので、それを割りきるとよいかもしれません。
- これはただの計算表だと思う
- 数字を入れたらどうにでも変わる。したがって、入力する前提条件次第
- 現実を完全にシミュレーションすることはできず、簡易的に示しただけ。それでも検討のベースにはなるので、それなりに有効。特に新事業がどうすれば事業として成り立つのか、予測できる
一つひとつ説明していきます。
- エクセルはぜひただの計算表だと考えてください。マス目が多数あって、それぞれに数字か式を入れられる、そういう紙です。どうってことはありません。紙との違いは、数字や式を入れると勝手に計算することができ、計算間違いをすることがなく、かついろいろなケースをあっという間に検討することができる、という点です。これはすごいメリットですね。
- 収支計画を厳密に作ろうと考えてもうまくいきません。データが十分ないし、すべて想定上の話だからです。そのとき、前提条件としてどういう数字を入れるかで、結果は変わります。
- 企業の収支計画を数十行だけで説明するのはおかしいと感じる方もおられるでしょうが、そもそも将来のことなので、しかも初めてのことなので、現実を完全にシミュレーションすることはできません。やる必要もありません。やっても意味がありません。新事業はビジネスモデルが確立していません。そもそも事業が成り立つのかどうかすら見えていません。初期顧客の反応や識者との議論などを通じて、新事業の価値を予測していきます。
エクセルを使う上での注意点ですが、前提条件をまず決めて左端に列挙します。有料課金ユーザー率とか、原価率とか、給与とか、収支計算に使う数字です。ベースケースが完成したら、この前提条件を少しいじって、「よりアグレッシブなケース」「より弱気なケース」などを即時につくれます。
もう一つは、一度作成したモデルを縦・横何度も確認して整合性があることを確認することです。さらに、各カラムの数字、数式を全項目チェックします。表を作りっぱなしだと確実にミスがあると思ったほうがいいです。
エクセルの作り方、式の立て方などChatGPTに質問すると即座に的確に教えてくれますので、ぜひやってみてくださいね。
こういった注意を守って、ぜひ楽しくエクセルを使ってみてください。
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