欲しいのは日本のカネと技術。プーチンは「北方領土」を返す気など1ミリも無い

ky20231221
 

プーチン大統領にいいように弄ばれ、カネを失っただけだと批判されることが多い安倍政権の北方領土返還交渉。しかしこのような見方に否定的な意見もあるようです。今回のメルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、安倍元首相がロシアに北方領土返還の意思がないことを見抜いていながら、プーチン大統領に接近した理由を解説。さらに今後の「返還の可能性」についても言及しています。

ロシア・ラブロフ外相「領土をめぐる論争は終わった!」の意味

全世界のRPE読者の皆様、こんにちは!北野です。

ロシアのラブロフ外相が「領土をめぐる論争は終わった」と断言しました。『共同』12月18日。

ロシアのラブロフ外相は18日の政府系テレビ「第1チャンネル」のインタビューで、ロシアにとって日本も含めた他国との「すべての領土を巡る論争は終わった」と述べた。ロシア外務省が映像を公開した。

 

日ロ関係最大の懸案である北方領土問題をこれ以上交渉する考えがないとの姿勢を示したと受け取れ、日本側の反発を招くとみられる。

この発言、皆さんどうでしょうか?「北方領土問題をこれ以上交渉する考えがないとの姿勢を示した」とのことです。

しかし、28年間モスクワに住んでいた私が思うに、「プーチンは、そもそも北方領土を返還する気がなかった」のです。では、安倍総理時代の「日ロ蜜月時代」は何だったのでしょうか?

プーチンの作戦は、以下のようなものでした。

  • ロシアが日本から欲しいのは、技術と金だけ
  • 北方領土返還をほのめかすことで、日本から技術と金をもらう
  • でも、結局北方領土は返さない

ということは、安倍さんは、だまされつづけたのでしょうか?そうは思いません。安倍さんも、北方領土返還が不可能に近いことは知っていたでしょう。

しかし、安倍さんは、「別の大きな理由」でプーチンに接近していたのです。なんでしょうか?中国の、「反日統一共同戦線戦略」を「無力化すること」です。

2012年11月、中国は、ロシアと韓国に、「反日統一共同戦線創設」を提案しました。

【必読証拠】反日統一共同戦線を呼びかける中国

を読んでいただければわかりますが、中国の戦略の骨子は、「日米関係」「日ロ関係」「日韓関係」を破壊することで、「反日統一共同戦線」を創り、日本を孤立させ、破滅させることでした。

安倍総理は、逆に、「日米関係」「日ロ関係」「日韓関係」を改善させることで、反日統一共同戦線を「無力化」させたかったのです。だから安倍さんは、「希望の同盟演説」でアメリカとの関係を最高にした。「慰安婦合意」で韓国と和解した。プーチンの不誠実さ、狡猾さを見抜きながら、ロシアと和解した。

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