「地震は因果応報」日本の不幸を笑う中国のニュース番組司会者の愚

 

ただ、日本では中国人を含めた日本語のわからない外国人に対して、外国語で避難を呼びかける一方で、中国では日本の不幸を喜ぶという、あまりの「民度」の違いに、さすがに苦言を呈する中国人も少なくないようです。

昨年12月18日には、中国甘粛省で地震が起こり、100人を超える死者を出しましたが、中国の冷静なネットユーザーからは、「日本の地震が因果応報なら、甘粛省の大地震は何の報いなのか?」「自然災害が因果応報なら、中国はどれだけ報いを受けてきたのか?」という声も上がっています。

また、「新疆の大火では指導者が先に逃げ、涿州の洪水では何の警告もなかったが、日本の地震では“中国人は早く逃げろ”」と、中国当局を批判するような投稿もあったそうです。日本の災害への嘲りが、かえって中国の指導体制への不満へと転嫁するという、中国共産党がもっとも恐れるパターンです。

今回、HBTVが迅速にニュース司会者の処分を決定したのも、「因果応報」が巡り巡って、中国共産党への批判につながることを恐れたからでしょう。

儒教には「天命思想」と「天譴論」というものがあります。天命思想は、徳のある者が天から命じられて君主になるというものです。もしも君主が徳を失えば、天はその者を見放し、別の徳のある者が君主に天命が下ることとなります。これが易姓革命の理論となりました。中国では王朝が何度も代わりましたが、それらは徳を失った皇帝一族から、新たな徳を持つ一族への政権交代だという意味付けがなされたわけです。

同様に天変地異は、君主の徳がないために起こるとされました。これが天譴論です。徳がない君主は統治がうまくいかず、天からも見放されるために天災が起こるというわけです。

日本の災害について、先のニュース司会者は言外に「日本政府による処理水の放出決定」を匂わせ、その因果応報だと述べていました。しかし、もしそうなら、中国で起こる災害は、習近平の悪政の報いだということになります。

以前のメルマガでも紹介しましたが、「中国人入店お断り」という張り紙をしていた東京の中華料理店に対し、中国人のネットインフルエンサーが来店して大騒ぎするという嫌がらせが話題になったことがありました。

「日本人お断り」にはダンマリ。「中国人お断り」に過剰反応する男性の正体

この店は、新型コロナの流行中に家族や客を守るために「中国人と韓国人お断り」という表示を出していたそうですが、流行収束後、中国のネットユーザーがアクセス数を稼ぐために、愛国的なビデオを作成する目的で、わざわざ店を訪れて騒ぎを起こしていたことが判明しています。

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