派閥に依存している議員にとっての「上からのテロ」
一般の人たちの派閥問題についての処理の仕方に対する評価、これが「岸田さん、なかなか潔いね」。宏池会はある意味で派閥中の派閥なのに、そこを解散するとは、実に潔い人だなあ、支持しようか…というように思ったのか、あるいは「よく分からないね」ということなのか、あるいはもっと、こんなことをしたら、派閥自身がやったことで派閥を解消してしまったら自民党の政治のスタイルが変わってしまって困る、という人が一般の中にいらっしゃるかもしれません。どうなのだろう。
これで支持率が大きく上がるというようなことがあると、党内でのバランスが変わってくる可能性があって、「岸田さんはなかなかやるな」という話になるかもしれない。そちら側の芽があるんじゃないかということもある。
早速、二階派は苦しそうなお話しぶりでしたが、ごめんなさいということと、二階派を解散するということで所属議員の皆さんの了解も得ましたということを表明されました。で、今もまだやっているのかな、安倍派の総会があって…。これ、元々安倍派から出た問題で、これが二階派に累が及び、さらに総裁派閥まで解散させることになってしまったということになると、安倍派はいいのだと開き直るわけにはいかない。なんと面の皮の厚い人たちなのだろうと安倍派の議員が支持者から観られるとすれば、これは安倍派の基本的な立場を崩してしまうかもしれない。だったら、九死に一生じゃないですけれど、上手い方向に転換するチャンスを待ちながら、とりあえず派閥を解散しようか、ということになるかもしれない。
でもそれは、岸田さんの狙い通りですね。きっと。安倍派と二階派を解散させてしまうわけですからね、これで。その流れが出来たときに、麻生さんとか茂木さん…麻生さんは副総裁、元木さんは幹事長。二人とも幹部中の幹部ですね。この人たちが率いる派閥ははたして存続しうるのか、ということになりますね。(生き残るのは)なかなか厳しいんじゃないでしょうかね。これは自民党内からも、野党は勿論ですけれど、それは、総攻撃を受けるでしょう。一人一人の議員が、なにか、こう、国会に戻ってこられるかという話になってくる。
ここまでは、なんとなくですが、岸田さんの打った手は「上からのテロ」みたいな感じで、特に派閥に依存している人たちからすれば、「上からのテロ」みたいな感じでしょうね。岸田さんは自ら火を放ったという感じ。これで求心力を回復して、支持率も上がり、他に大きな問題が起こらなければ、岸田さんはもう少し総裁として頑張れることになるということですね。
(『uttiiジャーナル』2024年1月21日号より一部抜粋。全てお読みになりたい方はご登録ください)
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