「松本逆転」の印象操作報道が行われる可能性も
仮にこの渡邊センスの「まったく本質から離れた」とも言える主張の一部が正しかった場合、つまり『フライデー』サイドに一部でも間違いがあった場合、吉本興業の株主でもある在京・在阪の大手テレビ局は、その部分のみを切り取って「松本逆転」の印象操作報道を行うことも十分考えられる。
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これについても前出のテレビ関係者に聞いてみた。
「それこそ都合の良い情報ばかりを集めるチェリーピッキング、もしくは自身に都合の良いことばかりを強調して不都合な事柄は隠すというカードスタッキングの典型ですが、テレビ局ならやりかねない手口です。視聴者は注意深く観察すべきだと思います」
渡邊センスの『フライデー』への反論に万が一事実が含まれていても、一連の性加害を巡って「松本セーフ」とはならないのだ。
渡邊センスが気づかせてしまった吉本「本当の致命傷」
多くのネットユーザーが渡邊センスの反論に違和感を示したのは、まさに松本の性加害疑惑の“本質”からズレにズレていたからと言えよう。『週刊文春』が問題としているのは、あくまで松本の行為が「女性の同意に基づかない」という点であることは間違いないだろう。
その意味では今回の渡邊センスが否定した部分は、枝葉の部分に過ぎない『フライデー』の「馬乗り写真記事」を巡る“周辺事実”の真偽のみ。それどころか渡邊センスは、不用意な反論で吉本の「本当の致命傷」をあぶり出してしまったとの声もある。そう話すのは、週刊誌での執筆経験もある男性記者だ。
「今回の渡邊さんの“下手な擁護”は、松本さんを切り捨てることで会社を守ろうとしていた吉本興業にとって余計な一手と言わざるを得ません。というのも、これをきっかけに少なくないネットユーザーが性加害疑惑の本質を追求する過程で、吉本の“公金ビジネス”という本丸に目を向けるようになってしまったからなんです」
“吉本の公金ビジネス”とはいったい、いかなるものなのか。これについては、かつて『週刊文春』の取材班と行動をともにした経験を持つジャーナリストの上杉隆氏(55)が、自身のメルマガ『上杉隆の「ニッポンの問題点」』で「松本人志氏の所属する吉本興業は、長年にわたって政府やメディアと密接な関係を築いてきた」とした上で、以下のように書いている。
日本全国の自治体イベントや観光PRでは、吉本の芸人が独占的にキャスティングされ、税金を原資とした「おいしい利権」を恣にしてきた。大阪万博でダウンタウンがアンバサダーに就任したのはほんの一例にすぎない。過去にもクールジャパン機構からの100億円融資や、NTTグループとの教育ビジネス構築でも吉本興業には莫大な税金が流れている。
さらに上杉氏はこう綴る。
大阪で開催されたG20の最中にも、世界的なウェブメディアである株式会社NOBORDERの取材班(8名)の取材を事実上排除しながら、一方で、ジャーナリストの訓練も受けていない吉本興業のタレントを優遇したのはそうした癒着の背景があったからにほかならない。
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そう、吉本興業は今や公金ビジネス漬けになっていると言っても過言ではない。そんな「本丸」に多くの人々が目を向けるようになってしまったというのだ。事実、SNSにもこんな書き込みが散見される。
《渡邊センスの反論は松本問題の本質からずれまくってるけど、もっと言ったら公金いただき吉本ってのが大本質にある気がしてくる》
《吉本が公金チューチューしてることが一番の問題じゃ?》
《松本問題が吉本の公金泥棒体質を暴いてくれたな》
そんな吉本と株主である大手テレビ局が今後、『フライデー』記事に“何らかの誤りがあったことが発覚”した場合にどのような手を打ってくるかは前述の通り。繰り返しになるが、そんな「10の内の1」が“潔白”であったところで、すべてがシロと逃げ切ることは到底不可能なのである。