YouTubeなどで芸能人らを「脅迫」したとして逮捕され、常習的脅迫などの罪に問われている元参院議員のガーシー被告こと本名・東谷義和被告(52)。裁判では、検察側が懲役4年を求刑しました。メルマガ『施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」』では、著者の吉田正幸さんが、ガーシー被告のように芸能人らの暴露記事を掲載する週刊誌に矛盾を感じつつ、国民から選ばれた元参院議員だったガーシー被告の「公益性」について言及しています。
「世の中に知らしめないとダメだな」とガーシーは言った
ご存じガーシー。
YouTubeで芸能人らを繰り返し脅迫した罪などに問われている元参院議員のガーシー被告の裁判で、検察側は「営利的かつ職業的犯行」などとして懲役4年を求刑した。
初めてこのニュースを見た時に「重すぎないか」と感じた。もちろん傷ついた人はいるだろうが(ご存じ芸能人)、それが本当に虚偽暴露だったのかどうかという調査報道なんて無い。
Yahoo!ニュースには「気に入らない相手を誹謗中傷し、脅迫する習癖が認められる」“ガーシー─被告裁判で検察側が懲役4年求刑 被害者の綾野剛さんの意見も読み上げ” と題し、下記のような記事が掲載された。
ガーシー被告
「不安、恐怖を与え、本当に申し訳ない」きょうの法廷で、改めて被害者に謝罪の言葉を述べたガーシー被告、本名・東谷義和被告(52)。YouTube上で俳優の綾野剛さんら4人を繰り返し脅迫した常習的脅迫の罪などに問われています。
ガーシー被告
「芸能界にまつわる闇があまりにも深い。世の中に知らしめないとダメだなと思う気持ちがありました」これまでの裁判でこう語っていたガーシー被告。しかし、「YouTuber」を始めたきっかけについては「借金をしていた友人からの提案で断りにくかった」などと説明していました。
きょうの裁判では、厳重な処分を求める被害者・綾野剛さんの意見書も読み上げられました。
綾野剛さんの意見書
「俳優としての職業を続けられないのではないかと思った。何年もかけて作り上げてきた綾野剛が脆くも崩れていくのを感じた」検察側はガーシー被告について、「気に入らない相手を動画配信により誹謗中傷し、脅迫する癖が認められる」「営利的かつ職業的犯行で、その中心的な役割を果たした」などとして、懲役4年を求刑しました。
最後にガーシー被告は…
ガーシー被告
「二度とこのようなことをしないと誓います」判決は3月14日に言い渡されます。(TBS NEWS DIG『「気に入らない相手を誹謗中傷し、脅迫する習癖が認められる」“ガーシー─被告裁判で検察側が懲役4年求刑 被害者の綾野剛さんの意見も読み上げ”』)
とのこと。
弁護側は脅迫行為の常習性を否認し、通常の脅迫罪にとどまると主張しているという。
脅迫罪なら最高で懲役2年であるのに対し、常習脅迫罪だと最高で懲役5年と重くなることから、その適用を回避し、執行猶予を狙っているのだろう。
5億の借金…「背水の陣」から迫りくる“遠吠え”としてのYouTube
ご存じ、ガーシーは、ギャンブルで5億円の借金があり、金を借りていた知人の勧めで不本意ながら暴露系ユーチューバーとなり、迫真の怒鳴る演技?で配信していた。まさに演技を超えて背水の陣から迫りくる遠吠えのようだった。
瞬く間に登録者数と再生回数は上がり一躍有名になった。
その強気なガーシーが、今後は一切配信しないなどと供述しているという。ただ、動画の配信で多額の収益を得ている一方で、被害弁償は済んでおらず、その資金もないとも述べているらしい。
早くからジャニー喜多川氏の性加害問題をカウアン岡本さんから聴取するなど、その功績に恩を感じている関係者も多いことだろう。
しかし、それが本当に結局は金目当てだけだったというのか。
動機に酌量の余地はなく、脅迫の内容も強烈で、国外に逃亡して警察を挑発するなど犯行後の情状も悪質だったと受け止められ、常習脅迫罪の成立が認められた場合、実刑になってしまうのだろうか。
どうも腑に落ちない。昨今の週刊文春やフライデーなども暴露と言えば暴露だろう。週刊誌ではなくYouTube動画で記者が怒涛の罵声で喋りまくってもここまでの罪に問われまい。
国民からの投票で「国会議員」に選ばれた暴露系YouTuber
ガーシーは国会議員でもあった。これは立花孝志氏の算段だろうが、国会議員当選を果たしたとき、本気で芸能界の闇が葬られるのかもしれないと思った人たちは多いはずだ。それが投票数として形となった。闇を暴こうぜ、ということだけではなく、本当の綺麗な芸能・エンタメを望んでいる人たちは沢山いるのだと確信した。
このガーシーを選んでしまった、一票を投じた有権者はどういう気持ちで今いるだろうか?なんていう人もいる。逆に問いたい。あなたは「芸能界の闇」に対してどう思っているのか? 今の政治の継続で何かがかわるのか?と。
この287,714票という、30万票に少し満たない多くの票を集め、当時のNHK党から当選したが、有権者が投じたこの票の重みはあるだろう。
2022年参院選当時、安倍元首相の銃撃直後の投票。そこでガーシーに投ぜられた票は、見通しのきかない闇にまみれ、閉塞感に満ちていた日本政治への批判票であったと思う。
現在の日本政治は、「政治とカネ」「旧統一教会」など多くの問題を抱え、その解決策や出口の見えない中で、さらに閉塞感に満ちている。
日本の民主主義の崩壊が始まっている?
これは政治だけのことではない。歌舞伎界も宝塚歌劇団の一件もしかり、松本人志や『セクシー田中さん』の原作漫画家・芦原妃名子さんの急死もすべてが現代の闇とエゴと金のいびつな関係性、全部が繋がっているのではないだろうか。
同じことを繰り返さないためにも、政党側も、候補者の選定には責任を持つ必要があるし、有権者は、しっかりと候補者を見定めて投票する必要がある、なんていう人もいるが本当にそうだろうか。
ガーシーの当選は候補者の選定を見定められなかった人たちによる投票数なのか? とてもそうは思えないのは自分だけなのだろうか。
日本の民主主義を考え直す契機としても良いだろうなんて、とんでもない。日本の民主主義の崩壊が始まっているのではないだろうか?
この一件はネットデジタル時代における言論の影響力を象徴している。インターネットが与える声の力は強大である一方で、その声が如何に社会的責任と結びついているかを私たちは今こそ考える時だ。
特に影響力のあるインフルエンサーや有名・芸能人が行う発言は、広範囲にわたる影響を及ぼす可能性がある。キョンキョンこと小泉今日子さんの「バラエティ番組はくだらない」という言葉さえ炎上するのだ。なんで炎上するのか。
それは人間の意識が時代と葛藤しているからだろう。男と女、善と悪、相反する二元論的思考から多様性を取り入れ始めて、脳が再起動し始めていることに気づかなければならない。
「言論の自由」は幻なのか?ガーシー事件が世の中に示したもの
今回の一件を通じて、私たちは自分の発言が持つ力を理解し、それは責任を持って使用することの重要性を再認識する機会を得ることができたのである。ネット社会の中での自由な個人発言の線引きをこれからやっていくのだから、多くの失敗があって当然のこと。
ある種、ガーシーは先駆者だったからこそ、あちら側は危険を感じて見せしめにしたのかもしれない。
SNSであるX(エックス)も反響が沢山あった。
「自民党には弱い検察。ガーシーには強い。」というポストは1.5万いいね、がついていた。ある種これは日本という組織へのアンチテーゼである。
青汁王子こと、三崎優太さんは次のようにポストしている。
「ガーシーさんが悪だとしたら、人を貶めて儲けている週刊誌や、それに協力してる告発者も悪だろ。やってること大して変わらなくね?」、2.6万いいね。
次は美容外科医の麻生 泰氏のポスト。
「ガーシーさんは、相当に反省されていますし、二度と暴露チャンネルはやらないと宣言されています。常習性はありません。そして僕が暴露チャンネルはさせません。僕1人がどうこう言ったところで変わるものではないのですが、言論の自由を奪いかねない、この求刑には司法への落胆と憤りを感じます。
ネットを通して他人の醜聞の暴露で稼ぐ輩を減らすという意図は見えますが、おそらく見せしめにされてしまったんではないかと捉えます。言いたい事言えない世の中になりますね。」
本当に言いたいことを言えない世の中になってしまうのだろうか? それはないにせよ、「言論の自由」と「言論の暴力」は違うだろうし、そこに正義と悪という線引きが入るからカオスになる。
というより、そもそも言論の自由なんて幻ではないだろうか?
ガーシー事件の答えは一つしかない。虚偽か真実か、だ
ガーシーは反省しているというニュースもあったが、そもそも「反省」って、他人が見て分かるものでもない。
ただ、ガーシーと暴露された芸能人の問題の答えは一つしかない。真実か虚偽か。
それはわからない。ただ、ガーシーが虚偽だとすれば──(『施術家・吉田正幸の「ストレス・スルー術」』2024年2月10日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)
この記事の著者・吉田正幸さんのメルマガ
【関連】「吉本興業は今年潰れる」立花孝志氏の予言は当たってしまうのか?
image by:NHK応援チャンネル, CC BY 3.0, via Wikimedia Commons