「彼は降伏しなかった」プーチン打倒を誓ったナワリヌイ氏の妻

Vilnius,,Lithuania,-,February,21,2024:,Flowers,And,Candles,Laid
 

収監されていた北極圏の刑務所で16日に謎の急死を遂げ、その8日後にようやく遺体が母親に引き渡されたロシアの反政府活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏。最愛の夫を亡くした妻のユリア・ナワリナヤさんは19日、SNSに動画を投稿し、ナワリヌイ氏の意思を引き継ぐ決意を語ったことが多くのメディアで伝えられました。今回のメルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』では28年のモスクワ在住歴を持つ国際関係ジャーナリストの北野幸伯さんが、その内容を翻訳し誌面に掲載。プーチン大統領への「宣戦布告」とも言うべき声明のすべてを紹介しています。

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故ナワリヌイの妻が、プーチンに宣戦布告

全世界のRPE読者の皆様、こんにちは!北野です。

皆さんご存知のように、2月16日、プーチン最大の政敵ナワリヌイが獄死しました。この件については、すでに二つ記事を出しています。まだの方は、こちらをご一読ください。

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この2番目の記事の中で、以下のようなことを書きました。

インターネット世代はどうでしょうか?こちらは、ナワリヌイ派と反ナワリヌイ派(=クレムリン)で、激しい情報戦が繰り広げられています。

 

クレムリンの「説」は、なんと「ナワリヌイの死は、【 西側 】に都合がいい」というものです。断言はしていませんが、暗に「西側の諜報機関がナワリヌイを殺したのだろう」と言っているのです。どういうロジックでしょうか?

 

クレムリンのロジックはこうです。

 

ナワリヌイが亡くなるまで、西側は追い詰められていた。なぜ?フォックスニュースの元看板キャスター・タッカーカールソンが2月6日、プーチンにインタビューした。それが公開され、プーチンの主張が全世界に広がってしまった。

 

「このままではプーチンの主張が拡散され、俺たち(西側)の主張のウソがばれてしまう!」と危機感をもった西側の支配者たちがナワリヌイを殺した?

 

その結果、世界中の注目がナワリヌイの死に集中し、カールソンのインタビューは忘れ去られた。かくして、西側の支配者は、目的を達成したと。

その時も書きましたが、この説の問題点は、「どうやって西側諜報機関が殺せるの?」という点です。

ナワリヌイは、ヤマロ・ネネツ自治管区の刑務所に収監されていました。どうやって、西シベリア、北極圏に位置するヤマロ・ネネツ自治管区の刑務所に収監されているナワリヌイを暗殺したのでしょうか?

そして、それ(西側諜報による暗殺)を許したとすれば、当局の責任者は、追及され、罰せられるはずです。ところが、当局責任者は、ナワリヌイ死亡直後、逆に昇進しているのです。

「時事」2月20日付。「ナワリヌイ氏担当が昇任=抑圧指揮、陣営は『殺害3日後』と反発─ロシア」

ロシアのプーチン大統領は19日付の大統領令で、法務省傘下にある連邦刑執行庁(FSIN)のボヤリネフ第1副長官を「大将」に昇任させた。独立系メディアは20日、ボヤリネフ氏が獄死した反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏に対する抑圧を陣頭指揮していたと報じた。

 

FSINは16日にナワリヌイ氏の死亡を発表した。同氏の陣営は20日、SNSで「殺害3日後」の昇任と反発。ボヤリネフ氏について「刑務所で拷問を直接監督し、依頼人(プーチン氏)から褒賞を与えられた」と非難した。

西側諜報による暗殺を許した責任者なら、昇進するはずがないでしょう?ですが、「プーチンからの指令を完遂してナワリヌイを葬った」ということなら、「ミッション完遂ご苦労!」いうことで昇進する可能性はあるでしょう。

ところで私は、クレムリンの意向に沿って、「西側がナワリヌイを殺した説を流布する人が日本でもでてくるだろう」と書いていました。そしたら、予想通りボチボチ出てきていますね。フェイク情報に踊らされないよう、ご注意ください。

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